賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

読み物部屋

補足:「道徳を基礎づける」(フランソワ・ジュリアン)より

孟子の考えでは、道徳性は、気の邪魔をするのではなく、逆に、気を解放し、促進する。 なぜなら、気は、利己主義によって閉じ込められると、その中で弱まっていくが、道徳性の効果を得ると、高まり、限りなく広がっていくからだ。 孟子は言う。道徳性によっ…

花間草章――無善無悪説(伝習録上巻102条)その5

(薛侃が)いう、「好色を好むが如く(善を好み)、悪臭を悪(にく)むが如く(悪を悪む)ということは、(心が巳に発動したのですから)どうして『意』ではないのですか。」と。 (先生が)いう、「(もちろん『意』であるが)誠なる意であって、私意ではな…

花間草章――無善無悪説(伝習録上巻102条)その4

(薛侃が)いう、「善悪は、全く(客観的)存在物とは関係ないんですね」と。 (先生が)いう、「もっぱら主体者のあり方いかんだ。(心=主体者が)天理にかなうことが、善であり、(心が)身体に制約されて発動するのが、悪である。」と。 (薛侃が)いう…

花間草章――無善無悪説(伝習録上巻102条)その3

(薛侃が)いう、「草が、もはや悪ではないのなら、草は抜かなくてもよいのですね。」と。 (先生が)いう、「そういう考えこそが、むしろ仏者や老荘の徒の意見なのだ。草がもし邪魔なら、あなたが抜き取っても少しもかまわない。」と。 (薛侃が)いう、「…

花間草章――無善無悪説(伝習録上巻102条)その2

(薛侃が)いう、「そうしますと、(花や草などの客観的存在物には)善も悪もないのですか。」と。 (先生が)いう、「善も悪もないというのは(実践主体が)本来性のままに平静だということです。 善も悪もあるというのは、(実践主体が)身体に制約されて…

花間草章――無善無悪説(伝習録上巻102条)その1

私(薛侃)が花にまじる草を抜き取って、そこでいう、「天地では、なんとも善は育成しにくく、悪は除去しにくいものですね。」と。 先生(王陽明)がいう、「育成もしなければ排除もしないことさ。」と。 しばらくして(先生が)いう、「そんなふうに善悪を…

「死してなお踊れ 一遍上人伝」(栗原康)が面白かった

一遍上人って言いますと、踊り念仏の人で、人々を救うために踊って踊って踊りまくったというイメージで、なんというかロックですよね。 ロックがなくてもロールがあるぜ!って感じですけど(どんな感じじゃ)、「捨ててこそ」という言葉通り、死後はなんにも…

ひらがなっていいな

えー基本賽の目は漢字が大好きな人間でございまして、本当はこのブログも漢字だらけの記事を書きたいくらいなんですが、悲しいかな致命的に語彙が乏しいので叶わぬ夢なのです。なんもかんも高校の国語の教科書に載ってた山月記(中島敦)のせい。 そんなワタ…

江戸の兵学思想(野口武彦) 未完成

「この愛は、異端。」(森山絵凪)、面白いですね。 「シノハユ」(五十嵐あぐり)10巻の特典ブックカバーもすばらでしたげど、それは今は関係なく、ブックオフで立ち読みしてたんですが、面白くて買ってしまいましたよ。 異端っていうタイトルと、すごい絵…

「言われている」ことの正しさではなく「言う」ことの正しさ

こちらの記事の続きみたいなものです。 「言われる」ことの正しさではなく「言う」ことの正しさを、というテーゼに深く心を動かされたのですが、前者はつまるところ「揚げ足取り」というもので、そんなのはどうでもよく、後者の正しさをこそしっかりと問うて…

愛と正義をなせ(「スピノザ『神学政治論』を読む」より)

あらためて、われわれの問いを定式化してみよう。 スピノザの「神即自然」は啓示宗教の語る神ではない。その哲学者スピノザが、「無知な」預言者の「真理ならざる」啓示の教えを、「心的確実性」において、「真なるもの」として受け入れる、とは、いったいど…

「近代ジャーナリスト列伝」(三好徹)上下巻(後半)

この記事の続きです。まさかこんなに間が空くとは…すまんですばい。ちなみに最近は中江丑吉という人(中江兆民の息子さん)に関心を持ってます。橋川文三がえらく高く評価してましたので。 たとえば「現代知識人の条件」の中では、こんな感じで語ってます。 …

おれはお前を独りででも援けてやるぞ

頭山先生の正伝を作ることとなり、朝日新聞の緒方竹虎、外交官の広田弘毅、政治家の中野正剛が編纂委員となって相談の結果、執筆者には葦津が指名された。その人選に頭山も満足し、同意されたことを受けて、次のやうに回想してゐる。 私はかねてから頭山先生…

「近代ジャーナリスト列伝」(三好徹)上下巻(前半)

最初の社会部記者岸田吟香をはじめ、成島柳北、末広鉄腸、中江兆民、池辺三山ら、時の権力に昂然と対峙し、時代の真の旗手として日本の近代化を担った明治言論人たちの気骨の生涯を描く力作。(アマゾンの作品紹介より) 昭和61年に出された本ですので、もち…

「日本浪漫派批判序説」(橋川文三)

以前に感想を書いた浅羽通明の本の中で紹介されていた「ナショナリズム」も面白かったのですが、ワタシは並行して読んでいたこちらの作品の方に注目してしまいました。 何故かと言うと小林秀雄のことがいっぱい書いてあったから。うわあ安直ー。 補論1では、…

「呪の思想」(白川静X梅原猛)

白川静氏と梅原猛氏の対談本。梅原猛さんの本は以前から読んでたんですが白川静さんは全然読んだことがなくって、今回この本を読んでみて、え?もしかして凄くエラい人?とのけ反った次第。 梅原 「才」(サイ)というのは、ホコと考えてよろしいですか。 白…

「ナショナリズム」(浅羽通明)を読んだ

木村カエラが世に出るきっかけとなったテレビ番組(sakusaku)をつらつら観てたんですが… 好きな音楽は?→ROCK!! いいねえ、いいよ~。オジサンもROCK好きよ~。 などと思わずニヨニヨしてしまうのですが、アレですね。Baby Metalなんかもそうやってニヨニ…

大東亜論(小林よしのり)

小林よしのりの漫画は主にゴーマニズム関連の作品しか読んでないのだけれども、自分の中では小林秀雄、小林よしのり、そして小林立と三大小林の一角を担ってます(笑) 頭山満を中心に明治政府と敵対した人たちを描いていくようですが、とにかく滅法面白かった…

天皇の世紀(大佛次郎)

料亭枡屋の女将が、その折り、避難して同じ場所に来ていて、(河井)継之助を見かけて、その時の話を残している。 「(中略)確か五月の十九日と思います。長岡が落城というので、大砲、小銃の響きはアチコチから手に取るばかり、町の中はただ抜身の人達が行…

誰も戦争を教えられない(古市憲寿)

作者さんについては、なんかワイドナショーで何回か観たな~程度の認識しかなかったのですが面白かったです。 こういう風にしか「戦争」というものを捉えることができないのかという苛立たしい気持ち、それを皆様にも共有してもらえたらな~という久々に悪意…

「毒舌仏教入門」(今東光)を読んだ

今東光という人についてはほとんど知識がなくって、板垣恵介が自衛隊にいた頃の自伝的な漫画の中で(単行本化を切に望む)、尊敬する人物としてこの人の名を挙げていたので、ちょっと気になっていた程度でありんす。 まあとにかく破天荒な人だったみたいで、…

攘夷とは(未完成)

開港か鎖港か、などという現実的政論は彼(林櫻園)にとって何の問題でもなかった。彼はうたがいもなく開港の必然性を知っていた。西欧文物の受容か拒否か、それも彼には問題ではなかった。すでに見たとおり、彼はよろこんでヨーロッパ産の文物を身辺に用い…

反軍演説って知ってます?

ワタシは最近知ったんですけど、そういうのがあるんですよ。 「お役所仕事の大東亜戦争」(倉山満)という本を図書館で借りて読んでたんですけど、最後の「おわりに」に、この演説についての言及があったんですよ。それで初めて知りました。 もう返却期限を…

無痛文明論(森岡正博)を読んだ

以前、こちらの記事で紹介したこともある曲なのですが、一時期ヘヴィロテでこの曲を聴いてました。 有名なアルバムですので、いささかと言いますか、かなりこっ恥ずかしいのですが、これは良いアルバムですね。時にこれはちょっと甘ったる過ぎるのではないか…

「書物としての新約聖書」(田川建三)を読んだ

爽「私は弱い時にこそ強い! って誰かが言ってたから大丈夫だ!」 由暉子「誰かじゃなくてパウロです。コリントの信徒への手紙2」 (「咲」114局「調整」より) と、なにやら咲世界でもキリスト教がらみのネタが入ってきそうな気配を感じるので、前々から読…

神の心・人の心

神の心 人心荒み、道徳廃れて、人類の上に、永遠に闇がかぶさってしまったように思われる時代がある。現在が、ちょうどその時代だ。しかし、私は信ずる。この状態はそういつまでも続きはしない。いつか又、明るい世界になるであろうと。 ほんとうに『正しい…

備忘録4

こちらの記事などご参照。 シュン、お前にはよく考えてもらいたい。お前は日本サッカー界の中でも特別な才能を持った選手だ。 それなのに今、試合に出ていないのは監督のせいなのか? 少し前までお前と同じ場所にいた、お前と同じくらいの才能を持った選手た…

備忘録

面白かったので、まんま引用。→引用元 13: アンクルホールド(東京都):2013/07/27(土) 09:54:19.60 ID:1YLCfTOs0 42歳くらいったら何年生まれだ? どんなFランでも入りづらくて バブルに乗ることもできず メディアに煽られて女は独立運動 親も池沼 こんな…

道徳の教材にスレイヤーを取り上げるのはどうだろうか

Slayer - Hell Awaits 現在、道徳を教科化しようとする動きがあるようですが、その教材としてスレイヤーを取り上げてみてはいかがであろうか(提案)。 たとえば、クソみたいな同級生がいたとして、そいつらにイジメに遭ったとしたらどうするか。「スレイヤ…

無題2

前回の続き 死の直覚的な確実性とは何だろうか。死はおよそ経験知とは全然別な仕方で直接的に人間によって知られているものである。 われわれは自分が死ぬときになって初めて死を知るのではない。死は生の終点で経験的に知られるのではなく、生の一瞬一瞬に…