今頃気味の「ビースターズ」(板垣巴留)14巻感想(&今頃すぎるリクドウ感想)ネタバレ大アリ注意
チーズって、めちゃくちゃ美味しいですね(挨拶)。
ワタクシ、賽の目はなかなかの子供舌でございまして、高校までずっとボンカレーは甘口でしか食べられなかった恥ずかしい過去を持つ男であり、癖の強いチーズもなかなかに嫌いな部類に入る食べ物でした。
それがこの前、チーズはダイエットに向いてるという記事を拝見しまして(こちらなどから)、恐る恐る口にしてみたところ、まあ美味しいこと! チーズってこんなにおいしかったんですね。
しかして、チーズの凄さはただ美味しいだけではなかったのだ! 先日、部屋の片付けのために休日を丸一日潰してエンヤコラしておったのですが、その間、一度も外出することなく、このチーズだけで食事が事足りました。恐るべき腹持ちの良さよ。
さすがっすモッツァレラさん!
朝に2個食べて、お昼に2個食べて、さすがに夕食は…と思ったものの夜も最後の2個食べて就寝しました。これは便利。これから部屋に籠らなきゃならない事態が出来したら、事前にチーズを購入しとこうと思います。
ということで、あらたな武器を得た賽の目ですが、今回は2ヵ月程前に発売されたビースターズ14巻の感想です。前振りと本題が一切関係ないのが賽ノ目手帖(無印)の頃からの持ち味。そんな持ち味捨ててしまえ。
表紙は壮獣ビースターのヤフヤ様。のっけから始まったレゴシ君との対決が見物でした。「…ムカつくガキだな」と、天真爛漫に気に障ることを抜かすレゴシ君に腹を立てるヤフヤ様が面白かったです。
この2匹の対立はどうケリを付けるのかな~、と読んでたら、レゴシ君が牙を引っこ抜いてタマげましたよ。そこまでの覚悟だったのか!
この作者さんは効果的な見開きの使い方をしますねー。個人的に「リクドウ」(松原利光)の見開き具合もすばらだったと思ってます。
たとえば12巻で、「分かってんじゃんユカリ姉ェ~」と全然分かってないセージに、お姉さんがニッコリと笑って…あ、これはお姉ちゃんなんかやるな?と思ってページをめくったら、
これモンですよ。
や、やり過ぎですよユカリさん! これからすぐ試合なんですよ!? ビックリしたなあもう~。
と、このように何度もリクドウには驚かされました。ちなみにセージとユカリさんは姉弟なのですが、セージはというと(→■)
“結婚”
出来ね~かな?
…姉弟(オレら)…
お姉ちゃんと結婚したいんかい! 許されるのは叔父姪までですよ(by慕ちゃん)。このいきなりのレディコミ展開に、こっからどうなってしまうんだろうと、試合よりもそっちの方が気になってしまったものですが、この禁断の愛の行方は…そう来たか~でした。
思えば、セージの物語のバランスを壊しかねない破格の強さとか、最初からこういう結末を想定して生まれたキャラクターだったんだなと。計算通り!ってやつですよ。
なんと言いましょうか、ようやっとリクくんが自分がボクシングする意義(すなわち自分の人生の意味)を見出したセージとの試合で、こういう残酷なオチを持ってきて悶絶させるとか、感情のジェットコースターとでも申しましょうか、久々に漫画読んで作者の手の平の上でコロッコロ転がされてしまった感がありましたよ。ええい悔しいやら面白いやら。
はなはだ主観的な意見なのですが、このセージとユカリさんの物語がリクドウという作品におけるクライマックスだったと思ってます。勿論、リクドウ(主人公リクの道)という物語はまだまだ続いているのですが、物語としてはここがピークだったのではないかと。
キャラクター的には柳涼太郎さんが大好きでしたので、ワタシ的には17巻が白眉なんですけどね。
おまけ漫画で、リクくんが柳さんと蕎麦屋さんで一緒に蕎麦を食べる話の後日譚が描かれてますが、リクドウの巻末のおまけ漫画ではこれが一番気に入ってます。柳さんは良い人だなあ。
ええと、無理くりにリクドウ話を挿入してすみません。ヤフー時代から引っ張ってたネタなんです!
もうリクドウはとっくに連載終了してますよ。書くタイミングを完全に逸しちゃいましたよ。どさくさに紛れで本当にごめんなさい。
さて、本題に戻ってビースターズなんですが、ヤフヤ様と別れた後、浮気現場を目撃して(誤解)、やさぐれた感のあるハルちゃんのその後が描かれてますね。
しかし、「ハルちゃん」といい、そのお友達の「アコちゃん」といい、そこはかとなく咲-Saki-阿知賀編 episode of side-Aの匂いが感じられますね。そうか?
それにつけても咲本編206局でのカラー扉絵はとても良かったなあ。
そんな龍神様はさておいて、またしても異種族間の恋愛の厳しさを思い知らされるハルちゃんでしたが、もしかしたらこれでレゴシ君とハルちゃんの関係も終わっちゃうのかなーと思いきや、おもくそ予想を裏切られましたよ。この作者も読者を手の平の上で転がしてくれるよなあ。悔しい!
レゴシ君が順調に傷ついてより強く覚悟を決めてゆくのに対し、ハルちゃんはちょっと付いていけなくなるのかな?とか小賢しい展開予想してすみませんでしたな衝撃展開でした。
草食動物と肉食動物がともに同じ社会で暮らしていくというのも、なかなか前提が無茶なのですが、その前提を元に肉食動物が草食動物を食べることをただ「悪」と単純に言い切ってよいものかと、これはこの作品を読むたびに考えさせられますね。
善と悪というものを、もう一度よく考えてみなくっちゃ、と思わざるを得ないのですが、ふとこの読後感はあの作品に似てるなあと唐突に思い出しました。
「猫の首」というなにやら恐ろし気な話ですが、実際怖いです(笑)。でもビースターズがお好きな方は、一度読んでみてはいかがでしょうと薦めたくなるような読後感です。終わります。