賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

続・超私的00年代のBest Album

ローリング・ストーン誌の「00年代のBEST100枚」は、著名なアーティストが選んだものですが、中でもレイジ・アゲインスト・マシーンのトム・モレロ先生のベストが、一番分かりやすかったです。U2のATYCLBは21位かあ~。
メタリカラーズ・ウルリッヒ先生のベストにはNLOTHが11位にランクイン! Best Songでは、Moment Of Surrenderがまさかの1位ですよ。本当にU2が好きなんだなあ。
Moment Of Surrenderは、トム・モレロも9位に入れてますし、ミュージシャンに受けの良い曲なのかもしれませんね。次のシングルはBreatheよりもMoment Of Surrenderの方が良いかもしれませんよ!

 

ということで、先日の続きであります。そんな引っ張る内容でもないのに、スマンこってす。



  5位:Mew「Frengers」(2003年)

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このアルバムは、オープニングの「Am I Wry? No」に尽きますね。完璧です。こんな完璧な曲を、あんな若い頃に作曲してしまってよいのでしょうか。
無茶な物言いですが、「エンヤがプログレしてるサウンド」というんでしょうか。エンヤ的抒情空間に、プログレ変拍子を加味したサウンドは、ありそうでなかったシロモノです。「あれ、このサウンド格好良くね?」「俺ら、なんか凄くね?」みたいな(笑)、作った本人も驚いてるんじゃないかと邪推してしまう「Frengers」から、堂々たる新作「ノー・モア・ストーリーズ」まで、よくぞここまで成長したものです。プログレ好きの人間としても応援したいバンドです(笑)
それにしても来日公演のチケットが初日で完売してしまったのには驚いたなあ。なんとか追加公演のチケットはゲットできましたけど、あせったわ~。それだけ彼らに期待が集まってるということですね。こういう「新しさ」を感じさせるバンドが踏ん張って活動を続けているのは心強い限りです。
・Am I Wry? No(Mew)


  4位:Feeder「Pushing the Senses」(2005年)

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このアルバムも、何度聴いたことだろう。バラード系の3曲、「Feeling A Moment」「Bitter Glass」「Morning Life」が特に素晴らしく、このバンドの持つ抒情性が最高度に発揮された作品なのではないかと思います。
溢れるように美しいメロディを次々と紡ぎだす作曲能力を有し、甘いヴォーカルの持ち主でありながらハードな演奏もこなす事ができ、しかも男前(笑)、という点で、ニコラス・グラントという人はポール・マッカートニーの後継者なのではないかと、ひそかに思ってます。
それはともかく、この抒情性は、非常に日本人好みだと思うのですが、なぜかそんなに日本では知名度が高くなく、前々から不思議に思ってます。ワタシなど、「Bitter Glass」には「もののあはれ」すら感じられるのですが(笑)、なぜだか「新古今和歌集」とか読みたくなります・・・う~ん、ワタシがちょっとおかしいのかも(笑)

 

  心なき身にもあはれは知られけり 鴫たつ沢の秋の夕暮   西行法師

 


  3位:POLYSICS「Now Is The Time!」(2007年)

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ニコニコ動画かなにかで、初めてポリのライヴを観た時のことは、昨日のように思い出せる・・・って、まだ2年ちょっと前の話なのですが(笑)
海外のフェス(O2 Wireless Festival)にトリで出演し、外人さんたちを前に威風堂々、実に楽しく演奏する姿に「ポリは日本の誇り」と思ったものであります。誇らしいったらないなあ、もう
あまりに感心したので、思わずファンレターを書いてしまったこともありますが、それぐらい舞い上がってしまいました。う~ん、これは恥ずかしい!
このバンドについては、過去に何度も言及しておりますので、屋上に屋を架す愚は犯しませんが、彼らの音楽によって、ワタシのロックに対する偏った考え方が確実に変わりました。多分良い方に(笑)
日本にもロックバンドがあまたあるのですが、その数ある中で、最初に惚れたバンドが幸運にもポリシックスであったことを神サマに感謝します(笑)
・Tei!Tei!Tei! (Polysics)


  2位:Radiohead「KID A」(2000年)

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2009年にもっともよく聴いたアルバムは、無論U2の新作なのですが、その次に多く聴き返したアルバムは多分これだと思う。いや、正確には「I Might Be Wrong: Live Recordings」や「Rocks: Live In Germany 2001」といったライヴ音源かもしれませんが、とにかく「The National Anthem」やら「Morning Bell」やら「Idioteque」やらを死ぬほど聴きました。
こういう聴き方は、邪道以外のなにものでもないのですが、ワタシは「No Line On The Horizon」を、「KID A」に対する返答、という風に聴いておりました。
そういう聴き方をすると、NLOTHは「KID A」に比べて、まだ十分に壊れてない、中途半端に感じられるところがあり、それがいささか苛立たしい書き方になっていたかもなあと、人知れず反省しております(笑)
多くの00年代ベストアルバムの投票で、このアルバムが上位に挙げられてますが、00年代は「KID A」を、どう乗り越えるかというのもポイントだったかもしれないなあと思ってます。
・Idioteque(Radiohead)


  1位:U2「All That You Can't Leave Behind」(2000年)

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ワタシがU2ファンになった日というのは、ワリと正確に特定できまして、それは2000年10月18日のことでした(笑) はい、「Beautiful Day」のシングルが発売された日ですね。
ATYCLBのレコーディング前に、ボノさんが喉の検査――それもかなり深刻な――を受けていたことを、「U2 BY U2」を読んで初めて知ったのですが、あのアルバムに込められていたものが、あの記事を読んではっきりと分かった気がしました。


 今でも憶えているよ。病室で検査の準備をしてる間――青い手術着を着て、周囲はカーテンで仕切られてて、誰の姿も見えないんだけど何人もの人たちが廊下を行ったり来たりしてる気配がするし、手術を終えて苦しげに呻いたりしてる声が聞こえてきた。
「こんなのイヤだなあ。僕はどうしても歌っていたいんだ」って考えていた。永遠に声を喪うことになったらどうしようって、そればかりで心が千々に乱れてた。もし癌だったらどうやって根絶しよう? 僕は死ぬことは怖いとは思わないけど、自分の家族に辛い思いをさせることになるかと思うと耐え難かった。
それに、バンドでもこれから少なくともあと何作かは、アルバムを出そうと思っていたしね。もし本当にそうなってしまったら、どれほどの迷惑をかけることになるんだろうって思ったよ。
 かくして手術室に向かい、横になって全身麻酔をかけられた。意識が戻ってもまだ半分覚醒状態みたいな感じで、ぐったりして動けない状態でね。すると敏腕ドクターの姿が目に入って、彼が「あと1時間ほどで完全に目が覚めますから、その頃もう一度来ます」って言うのが聞こえた。
僕が力を振り絞って彼の腕を摑んで思い切り揺さぶると、彼は思い出したように言ったよ。「ああ! 大丈夫です。問題ないですよ! 癌じゃありませんでしたからね」って。

 そんなわけで僕は運が良かったんだけど、一度死の淵を覗きかけたという経験以上に、来し方を振り返るきっかけになるものはないよね。何もかもが、より明確な像を結んで見えた。もしかしたら失っていたかもしれないすべてに対して、ありがたみを感じるようになった。
アリはそれから間もなく妊娠した。だから親父が癌に罹ったせいか、マイケルの時ならぬ死のせいか、それとも新しい生命のフレッシュなイメージか、生まれたばかりの子供を初めて腕に抱いた時のあの今にも壊れそうな感じのせいか分からない。
いずれにせよ人間の本質的なものをテーマにしたアルバムを作るべき時だって気がしたんだ。僕は現実の生活について、そしてそれを生きていくことに伴う様々な責任と、ただ生きているというだけのこと、目が覚めるということ、大好きなことをやっていられるということ、友だちや家族と一緒に過ごす時間が持てるということについて、ありのままの感情をストレートに表現したいと思った。もう二度と歌えなくなるかもしれないと思ったら、ムダ撃ちはしないんだよ。(p287)


例によって、長々しく引用してしまいましたが、「Beautiful Day」を聴いて感じたことが、みんな書いてあったんで、もういいです(笑)
この曲に出会えて良かった。このバンドを好きになって良かったと、心から思います。えらいハンパな記事となってしまいましたが、なんだかもう満足してしまったので(笑)、これで終わりにします。
・Beautiful Day(U2)