賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

2012年のマンガ関連ニュースを振り返る(後半)

現在ちょっぴり胸焼けの賽の目です。おはようございます。

とりあえずこのシュトヘルに癒されましたよ。明るいシュトヘルをみると元気が出るな。
ということで遅れまくりの前回の続きであります。「半分書いたから、もう出来たも同然だなっ」って安心してたらこのザマですよ。年内に終わらせないとシャレにならん!

5位 「怪獣の子供」(五十嵐大介)、完結。

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「怪獣の子供」の感想を読んでいたら「透明人間の作り方」の感想になっていたでござる」。自由奔放にも程があるわと、読み返して呆れてしまった。うむ、書いたのオレかっ。

「怪獣の子供」は、なんともいってもストーリーの合間に挟まれる短いエピソード(「海に纏わる証言」)が、このマンガ家さんの魅力がフルに発揮されていて素晴らしいですね。この人はやはり短編型の人なんだなあと。マンガの表現力を極限まで駆使して「本物以上に本物な嘘」を真率に語っておりますよ。マンガというのはここまで出来るんだなあ。

芸術とはなにか」と問われても、無学な自分にはとても答えらえれる質問ではないのですが、何回も読まなきゃ分からない作品というのが、自分にとって「芸術」だなって思います。あくまで個人的にですよ。
マンガというのは娯楽ですから、そんな何遍も読まないと分からないマンガなんてマンガ失格とも言えるのですが(売れないし)、だからこそ娯楽作品なのに、そんな難解なマンガを描いてしまう、リスクを恐れない人たちには尊敬の念を覚えます。橋本みつるのマンガとか、理解するまで何回読み返したのかなあ。

まあ芸術云々は言い訳で、「このマンガ、全然理解できねー!」って作品を意地になって何回も読み返していくうちに分かるようになってきて、「このマンガはこういうマンガだったんだ、すげー!」と感動してファンになるというパターンが多いだけな話なのですが、たまーに「てんむす」とかでドツボにハマったりすることもあるから、こういう読み方は要注意でございます。あえて退く勇気も大切だっ。

それはさておき、「怪獣の子供」という作品も何回も読まないといけないタイプに属するマンガですので、これからも何回も読み返すことになると思います。しかしよく考えたら、分かりやすいけど1回読んだら終わりの作品よりも、何回も読まないと分からない難解な作品の方が経済的と言いますか「お買い得」なんじゃないでしょうか。一粒で2度おいしいみたいな。不景気な今日この頃、こういったお買い得マンガが多く発表されることが望まれます。

それと、「透明人間の作り方」なんですが、最近やる夫スレで「透明人間の作り方」を原作にした作品を見掛けまして、大変面白く拝見させていただきました。
バッドエンドで終わらせてましたが、物語的にはこちらの方が断然正しいのでしょうねえ。当時そういう意見も多かった気がします。ですが、その必然性に全力で抗って、ほとんど荒唐無稽なまでに力ずくでハッピーエンドに持ち込ませたからこそ、あの作品は偉大だったと思います。
しかし、ミキさん役が「咲-saki-」(小林立)の東横桃子さんなので笑ってしまった。確かにステルス・モモって透明人間なんですなあ、言われてみれば。思わぬところで咲キャラが出て来て嬉しかったという、そういうオチ。


4位 「たいようのいえ」(タアモ)を読んでハマる

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思わずポストカードカレンダーを目当てにデザート1月号を購入してしまう俺、いかんな。病膏肓に入ってるぜ。
最新刊の7巻では、ラジカルさんが基に告白する直前で終わってしまったので、そこも気になっていたということもありますが、最後のページでのけ反りました。なんだよ結局告白しないで終わりかよーと思わせてこのオチ。引きが上手いなあ。

デザートは勿論、初めて読む雑誌なワケですが、みんな普通に読めるから困る。「デイジー ~3.11女子高生たちの選択~」(ももち麗子)という作品は、福島を舞台にしたお話で驚きました。少年誌ではまだ、こういう作品はなかったんじゃないかな。あえて挙げると森川ジョージ先生の「会いに行くよ」がそうかもしれませんが、あれはちょっとねえ

でも、こういう無理は承知で、でもあえてやる!という意気込みは嫌いじゃないです。正直、森川ジョージさんを見直しました(「会いに行くよ」は1ページも読んでませんけどー(おい))。しょうがないなあ、もう許すよ(エラそうだな!)。しかし、記事の内容は100%同意なんですけど、こんなにムカつくのは何故なんだろうな。これがツンデレってヤツなのか。

そんなテテテテレシア~!な怒りはともかく、デザートに金田一蓮十郎PEACH-PITのお二方の名前が載っていてビックリしました。デザートって講談社だよね?


金田一蓮十郎
ライアーXライアー(デザート)
あるみちゃんの学習帳(ヤングジャンプ

PEACH-PIT
金魚坂上ル(デザート)
ローゼンメイデンヤングジャンプ

タアモ
たいようのいえ(デザート)
アオハル(集英社)で短編を掲載


集英社はデザートを狙い撃ちか。
ヤンジャンは少女マンガ的な作品やら少年マンガ的な作品やら、幅広く掲載させていて良い青年マンガ雑誌だとは思うんですが、スピナマラダぇ・・・

スピナマラダのことは後で書くとして(ネタバレ)、「たいようのいえ」の7巻の前書きで「少女マンガを描いてるのにたまに男性に男だと思われていることがあって謎です」と書かれていて、確かに女性的な粘着さというのは乏しくて、男性にも読みやすい作風だなあと思います。「となりの怪物くん」(ろびこ)などは、いかにも女性が描いたなあという作風ですね。「たいようのいえ」もアニメ化してくれないかなあ。


3位 「咲-Saki-」(小林立)を読んでハマる

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いやあ、まさかこんなにハマるなんてねえ。こんな人気のあるマンガにハマったのは久し振りですよ。
ですので、「え、今さら咲にハマってんの?」みたいな皆様の視線が痛くって、てんむす」をダシにして「咲」を語るという、いささか卑怯な遣り口で感想を書いてしまったのは感心しないなっ。「てんむす」がお好きな方には大変申し訳ないことをしでしかしてしまいました。ごめんなさい。

と猛省したところで、やっぱり人気作ってのはいいですねえ。ネットで検索するとファンの方のサイトにいっぱい出会えるワケですよ。くっそう、スピナマラダもこれくらい人気があればっ(もうええって)。
こう、ピクシブとかでも余裕で検索できちゃうんですよ。そっかあ、「咲」は百合マンガという扱いにもなるのか。林家志弦さんは、この作品に興味はないのかな?
この作品は、「ネタマンガ」としても愛好されてますので、そういうサイトでネタ画像を拝見したりニコニコ動画などで楽しむことができますね。以前にも書きましたが、この作品は登場するャラが大変多いので、ネタに不自由することはまずないのですなあ。これだけのキャラの顔と名前と性格を把握するのも大変ですが、お正月は咲ネタをずっと追いかけてますよ。でも「咲日和」には手を出さないぞっ。そこまではいかない自制心、無駄なあがきかっ。

自分はもちろん、「咲」を熱血少年マンガとして読んでいるのですが、こういう風に様々な側面から愛されるような作品が広範な人気を得ることができるのだなあとも思いました。バキが亡き今、そういうネタとしても楽しめるマンガ作品が、今チャンピオンでもっとも必要とされているかもしれません。「てんむす」はそういう意味で必要とされていたんだなあと、今なら理解できます。てんむすの作者さんをもっとスパルタ的に鍛え上げてモノにできればいいんですけどねえ。


2位 「さくらDISCORD」(増田英二)完結

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橋本みつるというマンガ家さんがいらはるのですが、この人は、ワタシのマンガ購読人生で、最大級の衝撃をくらわせたマンガ家さんでして、「マンガというのは、ここまで表現できるんだ」と、これまでのマンガの読み方すら変えさせられてしまったマンガ家さんなのですが、このワタシにとっては革命的な「表現」を、少女マンガにとどまらず、もっと幅広く適用できないものかと、よく夢想したものでした。つまり「橋本みつる少年マンガを描いたらどうなるか?」といった一種の思考実験ですね(笑)

橋本みつるさんはこれ全身少女マンガ家な人ですので、できれば男性のマンガ家さんがそういうのを描いてくれたらなあと。
これについては、いろんな記事で折々に書いてしまってますのでアレなんですが、要するに「燃え上がれ少年心!」を少女マンガの手法で表現したらどうなるんだろう? とまあそんな感じです。

非常に抽象的な考え方で、具体例を挙げてみると間違いなく収拾がつかなくなることが分かり切っておりますので(笑)、ここは抽象表現にとどめておきますが、この「さくらDISCORD」は自分の夢想するマンガに近い作品だと思っております。うっひょー、妄想が現実になったぜ! いえ、増田英二先生にとってはご迷惑をお掛けしますが(笑)

やはり自分は「これまで見たこともないようなマンガ」を読んでみたいという欲望がありますので、「橋本みつるの影響受けまくりの少年マンガ家さん」みたいな、あり得ない存在を夢見てしまうのですが(笑)、今後、大友克洋的な革新的な影響力を持ったマンガ家さんが出現するとしたら、そういうタイプのマンガ家さんなんじゃないかなあって、なんとなく思ってます。

今もって、面白いマンガはたくさん発表されており、ちっとも停滞してないと思うのですが、惜しむらくはヒット作がない。昔と違って、今はインターネットの普及で読者間のつながりは密になっておりますので、もうちょっとこう、あまり知られてないけど面白い作品をすくい上げることができるようになれたらなあって思います。今年の「このマン」はヒドかったから特にそう思ってしまうのかも(笑)


続く・・・