賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

The WHOのライヴを観ました。

なんにしても、すごいライヴだったな。→■

  お前、そのAAを使いたいだけちゃうんかと。

それはともかく6打席連続ホームラン級の、大変良いライヴでした。きっと浜岡賢次センセイも満足されたことでしょう。サインください!
館内に入場すると、ジミヘンの曲が流れていたのですが、よく考えるとザ・フーとジミヘンは、モロに同世代なのですなあ。60歳を超えての、このエネルギーは何事あるか。改めてロック・レジェンド恐るべしと心得ました。

 

なんでも、19日の追加公演では、ジミヘンの他にU2の「プライド」も流れていたらしく、うおお、武道館でU2が聴けるなんて、幸せ過ぎる~! やっぱり19日も行けば良かったです。プライド→アイ・キャント・エクスプレインの流れは神だよなあ。

 

なんといってもボノさんのインタビュー記事を読んでからザ・フーを聴くようになった、ファン歴3年程度の新参モノですので、ライヴの間は熱狂しつつも、色々と考え事をしてしまったのですが、なんでこんなに古びないものであろうかと。う~ん、明らかにおかしい。

 

オリジナリティーの勝利とでも言うのだろうか。オリジナルは、何をやってもオリジナルだ。歳を喰おうが声量が衰えようが、どうやったって本質は変わりようがない。いや、ピート・タウンゼントさんのギターは、びっくりするぐらいキマってましたけどー。
本当にサマソニのマウンテンステージで聴いてても違和感ないギターでした。どうなってんだ~! ギターフェチなんだろうなあ。風車奏法を実際に見ることができたこともあるかもしれませんが、とにかく圧巻でした。


ピート・タウンゼンドは自分たちにとってはすごく特別な存在だったんだ。僕なんか、馬鹿みたいにはしゃいじゃってさ。「ああ、“My Generation”みたいにパワーのある歌が書けたらな。それだよね。それこそ僕の一生の夢だよ。それができたらどんなにいいだだろう!」なんて言って。そしたら彼は振り向いて「そうだね。しかも、とんでもない大金が稼げるぜ」だって。そういうところがピートはドライで控え目なんだ。それに誉め上手だったよ。場を盛り上げようと、本当に気を遣ってくれて。絶対に忘れないよ。(byエッジ)『U2 BY U2』113ページ


フーの曲を初めて聴いた時、「なんてU2にそっくりなんだー!」とか思っちゃいましたが、逆だよ逆。U2がフーに影響されまくりなんですね。

 

フーの音楽が、他に変えようがない、オリジナルの中のオリジナル、いわゆる「一流」とすると、U2は一流だろうか? ギリギリのところで、そういった一流とはなり切れてないような気がする。あえて言えば「超一流の二流」というコトしょうか?(笑)


ボノとエッジといっしょにホテルから出がけに、巨大なイタリア人ファンの群衆。ボノはいつもながらすごく親切、わたしは例によって仏頂面になってこう言う。「ファンは嫌いだ。人がこんなふうに自分自身を貶めているのなんか、見たくもない。わたしはファンなんかだったことはない」ボノ曰く、「へえ――まあ、ぼくはずっとファンだったから」(ブライアン・イーノ『A Year』より)


僕はずっとファンだった」というセリフがボノさんがどんな人なのか、ヒントを与えてくれますね。
ボノさんみたいな、世界でも有数のキャラクターの持ち主が、同時に誰かを崇め奉り、そうなりたいと願う「ファン」でもあるという、教祖にして信者みたいな、この強烈な矛盾こそがボノさん。どれだけボノさんがロックスターを振舞おうが、セレブを気取ろうが、ファンの人たちがボノさんを「仲間」だと考えたがるのは、ボノさんのこのミーハー体質があるからこそなのではないかと思います。

 

『ボノ語録』にも、ピート・タウンゼントについて、いくつか言及されてますが、みんなイイですね。


初期の頃、ザ・フーピート・タウンゼントが、脇道にいっぱい出くわすだろうけど道にそれるなよと言ってくれたんだ。お前たちは本物のバンドっていうすごいことをしているんだからなって。 

 

俺の子孫にはひそかに統計学を教えたいと思っちゃったね。パーソナリティーの危機って奴だよ。本物の問題に対処しなきゃいけないときには音楽を作ってるのが時間の無駄なんじゃないかって思えてしまってね。でもよーくわかったよ。U2は俺ができるベストのことだ。ピート・タウンゼントが拳で俺をこづいて言った。「社会福祉は俺みたいな年寄りに任せておけ」ってさ。 


せっかくピートさんがアドバイスしてくれたってのに、ボノさんは21世紀になっても脇道にそれまくっちゃってて、本当にもうっ、もう!なんですが(笑)、いつしか、ボノさんも若手バンドに「社会福祉は俺みたいな年寄りに任せておけ」って諭す立場になってしまったんですかねえ。まだまだ、「本物のバンド」への道を邁進し続けて欲しいのですが。


などと、ザ・フーにかこつけて、またもU2語りになってしまいましたが、非常に素晴らしいライヴでした。観衆も、明らかにみんなで盛り上げようという意志で統一されてました。「万が一、ここで盛り下がっちゃったら、もう絶対来てくれないよ!」という悲愴感は、ちょっとVertigoツアー日本公演を思い起こしてしまったり。やっぱり座席があるんで、座っちゃう人も、ちらほら見かけましたが、60過ぎの人間が一生懸命演奏してるんだから、ここは敬意を表して立っておこうよとか思いましたけれども、こうして時間をやりくりして平日に参加してきたワケですから、お疲れなんでしょうねえ。

 

何はともあれ、数十年にも渡り、ともに時を刻んできたバンドの演奏を観ることができたファンの人たちに乾杯!であります。U2も最低でもあと10年は現役でいてくれますように・・・