賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

美内すずえと三原順

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やっと読めましたよ~!


ど~しても、書店or古書店で見つけることができなかったので、やむなくAmazonの通販で購入したのでありますが、色んなコトがありまして、なかなか感想を書けませんでした。
これでようやく、紹介してくださった「漫画読もうぜ。」のBANさんに顔向けができますよ~。遅くなってスンマセンっした~。

さてさて、「熱血する恋愛少女マンガ」という、ワタシの無体なリクエストに応えて、紹介していただいた「聖アリス帝国」なのですが、うむっ、ワタシの想像を軽~く超えてました

真剣に読んでみてください。
多分、というか絶対真剣に読めないと思いますが、
できるだけ真剣に読んでみてください。
もう全てが笑いにつながることになってますが、
美内さんはおそらくマジメに描いていたと思うので。

ワタシは頑張った。物凄く真剣に読んだのですよ・・・ええ、笑いが止まりませんでした。
笑うっていうか、読んだ後、非常にツッコみ疲れしてしまいました。マンガ読みながら、こんなにツッコんだのは、生まれて初めてかもしれません。ボケ倒しでんがな。巣田祐里子というマンガ家さんの作品に、「おまかせシークレット・スター」という学園モノがありまして、その作品には、怪盗部なんていう部が登場してきたりしますが、ええ、それどころじゃありませんもの! 本当にここは日本なのかっちゅうくらいのハチャメチャぶりです。

林家志弦とか、吉本蜂矢とかいった人達は、よくギャグとして、美内すずえのタッチを真似たりするのですが、それが“ギャグ”として成立する所以を、まざまざと見せつけられました。なんというか、全ページがアフロ夫人!ってカンジなのですよ(→)。ちなみにワタシは林家志弦のサイン会で、アフロ夫人を描いてもらいました。

・・・と、そんなことはともかく、大変笑かしていただいた「聖アリス帝国」なのですが、この文庫版には、他に2つほど短編が収録されてまして、こちらも面白かったです。特に「ふたりのメロディ」が良かったです。

くるみさん、ぼくとあなたは
たしかにみんなのいうように
不協和音なのかもしれません

耳ざわりだ! 調和しないと
みんなはいいます!

でも! それでもその不協和音をうまくつかえば
曲にあたらしい変化がでて、調和するんだ!
すばらしいメロディになるんだ!

というくだりには、恥ずかしながら結構感動してしまいました(おいおい)。アツいわ~、これが熱血少女漫画魂というものなのですね!
ガラスの仮面」に代表されるように、美内すずえがこんなにも長く愛されているのは、こういう「肯定性」を臆面もなくさらけだしてゆくマンガ家さんだからなのかも、と思ったり。

今読んでる本に書いてあったことをまんま引用させていただくと、「人間はどうしようもなく祝福されている」という感覚。どれだけ辛く哀しいことに直面しても、それでも人生を肯定してしまうような気持ち。「これが生きるということだったのか。よし、それならば、もう一度!」と叫んでしまう感情。一般に“少女マンガ”というと、こういった「肯定性」が思い浮かばれるのではないかと思うのですが、それは美内すずえの影響によるものが大なのかもしれないなあ。また妄想くせえなあ(笑)

しかし、巻末にあった「美内すずえ作品リスト」を見てみますと、この人のデビューは、昭和42年(1967年)なのですなあ。ビートルズがまだ現役でいた頃ですよ!
ガラスの仮面」は、昭和51年(1976年)から連載が始まってるようで、うはあ、それってラリーが学校の掲示板に貼り紙を出して、メンバーを募集してた頃じゃないですか!

U2も長く活動を続けてますが、「ガラかめ」も凄いなあ。「聖アリス学園」は、ちょうど「ガラスの仮面」が始まった年に描かれた作品なのですが、30年前の作品を読んでも、違和感なく読めるということは、この頃には既に、「マンガ」の基本的なフォーマットは確立されていたのだなあと実感しました。
そろそろ「マンガ図書館」ってのが本格的に始まらないかなあ。もっと昔のマンガを手軽に読みたいぞい。というか、オレが館長になってもいいよ?

などとやくたいもないことを色々ホザいてしまいましたが、要は大変面白かったのです。BANさん、ありがとうございました。私の方こそ、なんか漫画紹介してけろ! というリクエストに関しては、

なるしまゆりの「少年魔法士」を読んでくんろ~!

・・・な気持ちで一杯です(笑) 「少年魔法士」については、一度ちゃんと書きたいなあ。



ということで、BANさんに感謝しつつ、今度は、前々から読みたいと思っていて、以前にも酔月亭さんに薦められたことのある「ムーン・ライティング」のことも。見つかる時は、とんとん拍子で見つかるのだなあ。

結論からいうと、すんごく面白かったです。
最初は物語の筋が読めなくって、狐につままれた状態になりましたが、3回くらい読み返して、やっと内容を理解できるようになりましたよ。これは単純にワタシの読解力、というかマンガ力が衰えているからだろうなあ。好きなマンガしか読まなくなってるからなあ。

であるので、まずは絵的なことから申し上げますと、コマ割りフェチであるワタクシにはたまらない、数々のコマ割りを堪能させていただきました。このページとか、「RRRRRRRR」って、何事かと思ったんですが、電話ですよ、電話。まあ驚いた。URRRRRYYYY!!
このページのコマ割りも好きだなあ。幾何学的だなあ。橋本みつるだなあ。この次のページで驚愕のシーンに遭遇するのですが、それは実際に読んでみてくださいませということで(笑)

それと、読んでて「ああ少女マンガだなあ」と思ったのが、煩雑さすれすれのネームの多さ。このラスト付近の2ページなんて、「読み易さ」を最優先する少年誌でしたら、間違いなくボツにされますよ。三原先生、もっとネームを削ってください!

少女マンガというジャンルは、他のジャンルのマンガに比べて、とび抜けて「文学性」というものを多く有していると思うのですが、こういったネームの多さを苦にしないあたり、それがうかがえるんじゃないかと。
『僕がすわっている場所』で、最初は「オレは文明社会が好きだ」と言っていた主人公が、「社会に対してなんて・・・多分ね、大して愛情を持っちゃいないんだ」と言い出すところとか、たまらなく好きだなあ。

それとですね、おっさんキャラをきっちり描けているところが素晴らしいと思いました。少女マンガ界では、おっさんキャラというのは、大抵鬼門となってますから(笑)、これは好感が持てますね。少女マンガでの魅力的なおっさんキャラというと、「動物のお医者さん」の漆原教授が最強かと思いますが、このドクターもなかなか・・・(笑)

ともあれ、非常に面白く読むことができましたので、今度は代表作の「はみだしっ子」を読んでみようかなあと・・・え、「ガラスの仮面」? あれは完結してからということで・・・(笑)

酔月亭さん、どうもありがとうございました!