賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

楽園vol.7感想

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「+C sword and cornett」(遊行寺たま)の1巻を読みました。

いえ、「享安堂の離れ部屋」の享安山人さんが紹介されてたので、つい。
ワリと以前から探してたんですが、結局1巻しか見つかりませんでしたねえ。
物語の内容については、享安山人さんの記事を読んでもらうことにして、なかなか元老院の方々の横柄な態度にはムカつくものがございますので、この主人公が成長して見返してくれる日が来るのが楽しみですねえ。「ヴィンランド・サガ」(幸村誠)のアシェラッドみたいにさぱっと首を刎ねてくれたら(←注:グロ 画像)さぞかしスカッとしますでしょうが、それはないか、さすがに。
もう一人の王子の方(オルセリート王太子)は、今後なにやら権謀術数の陥穽におちいってしまうとのことですが、こちらはクヌート王子みたいになるんでしょうかねえ(→)。
神は・・・こうしている今も我々のことを
見ていらっしゃるのだろうな・・・
友を失い、親と子が殺し合う
そんな様の全てを天空の高みから
見下ろしておられるのだろう
許せぬ
 
こういう中二病全開なキャラは好みですので(「悪を許す神を赦せるか」)、オルセリート王太子にも頑張って欲しいところです。
しかし、アレですな。もしこれから三国志マンガを描くとしたら、どうしても「蒼天航路」(王欣太)を意識せざるを得ないし、中世モノを描くとしたら「ヴィンランド・サガ」を超えるインパクトを持つ作品にしなければいけないし、後進のマンガ家さんは大変ですな。そういえば「ヒストリエ」といい「へうげもの」といい、何故か歴史マンガは講談社がいやに充実してますね。
 
 
ということで、なんというか久々のマンガ感想です。昨日マガジンが発売されてたから、なんだか今日はチャンピオンを読みたくてしょうがないぞい。
今回で7号目の楽園も、いよいよ3年目に突入ということで(年3回刊行なのです)、単行本も陸続と出たりするなど、いよいよ安定してきましたねえ。アワーズプラスの悪夢が忘れられない自分としては喜ばしい限りです。この楽園の成功を参考に、是非また少年画報社さんはアワーズプラスの後継誌を出して欲しいなあと、切に願います。ちなみに集英社はもうお腹いっぱいです。
 
さて、今回の扉の言葉は、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストイェフスキーの「青春は、それが青春という理由だけでもう清らかなのだ」。まったく毎回毎回、よくこうツボにクる言葉を持ってこれるよなあ。ドストエフスキー若い人たちばかりを主人公にした小説を書いていた人でした。そういえば前回の扉の言葉なんですが、「なんでまたこのルターの言葉を今回、「楽園」の編集者さんが取り上げることになったのか、ちょっと分からない」とか前回の記事で書いてしまってますが、アレは普通に東日本大震災のコトを受けての言葉だったんでしょうね。普通過ぎてそこに考えが至りませんでした(笑) だから俺はダメなんだよ。と、落ち込みつつ感想です。
 

ゼッタイドンカン(宇仁田ゆみ

相変わらず超絶ドンカンな中森くんに、とうとうヒロインさんが切れましたよ。キレる瀧さんかわいい。というか、よく今までガマンした! 感動した!(古い) しょっぱなからいきなりニヨニヨさせていただきました。ご馳走さまでした。
 

コレクターズ(西UKO)

今回は貴子さんの過去編か。なかなか面白かったですが、パート2での、貴子さんの不在を寂しがってる忍さんに、貴子さん似の女優が出てるAVを薦める大枝さんの旦那さんの行動も可笑しかったです。忍さんを男として扱ってるなあとか、自分の女房の前で堂々それを薦めますかとか、面白い人だなあ。
相変わらずラブラブ描写が冴えまくっていて、読んでて落ち着きますね。
 

ハート・クッカー(林家志弦)読切

相変わらず、こういうハイテンションなノリのマンガを描かせたら最高だな、この人は。やはり読切形式の方が、この人のいってこい!テンションがよく出てきますね。ジュリアナトーキョーとか懐かし過ぎます。
今月「はやてXブレード」の新刊が出ましたが、賽の目的に来年の初頭に出る予定の「地獄ニート」もひそかに楽しみにしております(ツイッターより)。無論、大してエロくないエロマンガにも期待していますよ!(笑)
 

恋の草鞋編み(平方イコルソン)

あれ、面白いぞ?
ノリに慣れてきたのか、マンガがこなれてきたのか、多分両方でしょう。好きな先生のために一生懸命草鞋を編む女子生徒。うむ、初めてキャラの行動原理が理解できたような気がします(笑)

金曜日の遠足(中村明日美子

 初々しい高校生デート。女の子の方は妻子ある男性に絶賛片思い中ですので、テンション低めですが、男の子の方はそれもう大ハシャギさ! という男女の温度差が面白いです。アプローチが上手くいったりいかなかったり・・・いやあ青春だね! この人はどんなパターンでも易々と描けてしまうのが強みだなあ。面白かったです。
 

青い珊瑚礁2011(沙村広明

今まで楽園に掲載された沙村作品の中で一番笑ってしまったかも。
手抜きというワケではありませんが、この程度の力の入れ具合で描いていただけると、こちらも楽しく読めることができるというもの。力こぶは「無限の住人」の方にとっといてください。
 

てるみな(kashmir

面白コワかった。ほのぼのと見せかけ、ラストのオチにビビらされました。救いがないわ~。
やっとこの作品のノリがつかめてきましたよ。
 

ろみちゃんの動揺(武田春人)

間接チューに動揺する山中さん。面白いなあ。あと、ほんの少しだけ絵が上手くなってくれれば上のステージに行けるのに、とお節介極まることを思わず考えてしまうのが問題だ。今のままでも全然構わないですけど。
 

ほっとする女(二宮ひかる

 こういう曖昧な、「どうぞ解釈はお好きなように」と、ポンと読者に放り投げるようなラストが、どうにも現在の作者さんのお気に入りになってるような気がするぜ。任されたこっちの身にもなってもらいたい。個人的にはほっとするよりもぞっとしました。
 

乙女ループ(鬼龍駿河

今回はちょっとばかしイマイチな出来だったかな。こういうこともある!
 

マイディア(かずまこを)

今回は2話構成。1話目でなんとか、デートの約束までこぎつけた主人公でしたが、デートの当日(2話目)に豪雨に見舞われるなど、この主人公はよくモテるくせに、どうも「持ってない」ところがありますなあ。だがそれがいい
ラストで、改めて自分がどれくらい好きな気持ちでいるのかを確認できたのも良かったですね。途方に暮れるほど好きなんかい。どんだけー。
うん、こういう具合に好きになる過程をしっかり描いていただけると、こちらも応援したくなる気持にもなるワケですが、「なんとなく枝葉が好き」(@A-bout)としか見えない青大くんを応援する気になれないんですよ、瀬尾センセー! 本当になんで青大くんはそんなに柚希さんが好きなんでしょうねえ、享安山人さん。
そんな別のマンガの話はともかく、個人的に、もはやこの作品が「楽園」の看板作品だと思ってますので、末長く続けて欲しいものです。「ディアティア」がどれくらい売れたのか、気になるぜ!
 

想いの欠片(竹宮ジン)

あからさまに拒否されても、それでも真っ向から向かっていくマユさんが勇まし過ぎて眩しい。恋する乙女は無敵ね! 脇役というか、物語が停滞したら引っかき回す役どころ(「君町」では凛さんが担当)かと思ってましたが、どうしてどうして、しっかりメインキャラですよ。 これからどう物語が展開していくのか、これは楽しみですね。
 

それゆけ楽園ちゃん(仮)(黒咲練導

うん、こういうノリなら全然オッケー。タルカス&ブラフォードで笑っちゃったよ。きいっ、なんか悔しい!ジョジョネタはヤメロォ! そういえば自分がプログレに関心を持つようになったのは、ジョジョの第1部のキャラ名が、間違いなくきっかけだったよなあ。
それはともかく、エロとか要らんのでずっとこの調子でマンガ描いてください。うん、絶対ムリだな。
 

あとからあとから(平方イコルソン)

あれ? これも面白いぞ。今まで、この人のマンガの面白さが分からなくって懊悩していた自分が馬鹿みたいじゃなイカ。なんか悔しいから、次号ではまた、難解なマンガをひとつお願いします。
 

汚い大人になる前に(売野機子

トガったところは相変わらずですが、以前よりポエミーなところが少なくなってしまった気がする。というか今回12ページなんだよな。あっという間に終わってしまって、抒情が追いつかなかった感がある。きっとお忙しいと思いますが、できれば、次回はもっと増ページで読者を幻惑させてください。
 

すきなひと(日坂水柯)最終回

きれいな形で終りましたねえ」(前回の記事より)
全然終りじゃなかったよ!
はいはい早とちり早とちり。あんまりキレイな形で終ってましたので、てっきり前回で最終回と思い込んでましたよ。これが載っていたのを見た時は目を疑いましたよ。何事~!
ということで、今回でめでたく大団円となるのですが、オチは「デキちゃった婚」ということで、それでええのんかい。波瀾まくりだよ! 負け惜しみというワケではありませんが、前回で終わりでも良かったんじゃ・・・。
なにはともあれ、お疲れ様でした。次作も期待しております。
 

彼女(二宮ひかる

あの先輩は、昔の用法での意味で、大和魂が足りなかったということでしょうか。二宮ひかるさん、源氏物語のマンガを描いてくれないかなあ。自分の知ってる現役のマンガ家さんで、この人が一番上手く描ける人だと思うのですが。10年後くらいに描いてくれることを期待しております(笑)
 

おわりのことば(シギサワカヤ

やはりこの人のマンガは、この位置(最後尾)がベスト。締めくくりに相応しい読み応えのある内容でした。たたみかける様な怒濤のモノローグに圧倒されましたよ。これが描きたいんだ!っていう気持ちがイヤという程伝わりました。週刊少年チャンピオンで連載中の「さくらDISCORD」(増田英二)も、これくらい濃密に心理描写をやってくれたら嬉しいんですけど、それはもう、少年マンガの範疇を超えてしまうかもしれない(笑)
白泉社ではないですが、近日発売予定の「さよならさよなら、またあした」も面白そうですので、こちらも買って読んでみようかなあと思ってます。
 
(続く・・・)