賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

今年のサマソニで一番感動した曲

8月14日、ビーチステージでLittle Barrieの演奏が始まった時、強烈な西日を浴びながら、僕は顔をタオルで覆いながら砂場に立っていた。殺人的に楽しかった。
午前中は照りつける太陽の元、マリンスタジアムNeon TreesMonaをハシャギながら聴き、午後からはマウンテンステージでTwo Door Cinema ClubFriendly Firesのここで盛り上がらなけりゃいつ盛り上がるんだな、ハイテンションな演奏を満喫した後でもあり、シャツはびしょ濡れだったが、強い潮風が心地良く乾かしてくれていた。
 
オープニングがSurf Hellで、いきなり知ってる曲(というかこの曲しか知らなかった)から始まり、のっけから興奮状態に入ってしまっていた。ギターというのは、なんと素晴らしい楽器なのだろう。あのギターのリフと、太陽と、風があれば人間は幸せになれるんじゃないだろうか、そんなことを考えていた。
いや、それとかき氷か。食べるとすぐに頭が痛くなって敬遠していた食べ物であったが、こんなに美味しい物だとは今まで全然知らなかった。この食べ物を発明したヤツは天才に違いない。食べ過ぎて腹を壊してしまったが、サマソニでウ○チをしたのは今年が初めてかもしれないな。
 
そんな尾籠な話はともかく、スリー・ピースのバンドはいいものだと、改めて思った。ベースとドラムがしっかりと自己主張し、そこにギター&ヴォーカルが乗っかかる。極めてシンプルだが、その分ストレートに演奏者の意思が伝わってくる。
 
ああ、これはマンガと一緒だな、と唐突に妄想が閃いた。
ギターが「絵」でヴォーカルが「ネーム」だ。
マンガ家が「絵」と「言葉」の二筋縄で表現しているように、ギターとヴォーカルが二筋の方法で表現している。その表現力は、2倍というより、2乗だ。
 
絵だけではダメだろう、言葉だけではダメだろう。絵と言葉がひとつになることで、それはマンガという強力な表現形式となる。
絵を描く人とネームを担当する人が別々となる場合もマンガでは多々あるのだが、それは非常に合理的な制作方法でもあるのだが、それでもやはり自分は一人でやってる方が好きだ。
 
絵と言葉が、ある種の「馴れ合い」状態になってるマンガは大抵つまらない。いや、それが普通なのだが、ことに少女マンガを読んでいると、そういう馴れ合いとは無縁のマンガに出会えてしまったりするので、馴れ合いマンガを退屈に思ってしまうことがある。
 絵と言葉との独特な緊張関係、それが少女マンガの特質ではないかとすら自分は思ってしまうのだが、そう断定してしまうくらい、かつて少女マンガの「難解さ」に頭を悩まされたことがあるのだ。
 
週刊少年誌の場合、いかにストレートに「内容」を伝えられるかが問題となる。ケンカしてる場合じゃない。「絵」も「言葉」も挙国一致してその目的のために常に協力していかなけばならない。一回読んで意味が分からないマンガなど論外だ。
だが、月刊誌がメインである少女マンガの場合、その目的は必ずしも最優先されない。時間はある。じっくり考えようじゃないか。
少年マンガは「目的」がメインで、少女マンガは「方法」がメイン、という言い方は可能だろうか。いや、不可能だな。それはただの極論だ。だが極論の方が言わんとすることが伝わりやすい。
 
異質な個性のぶつかり合い、というのはバンドの面白さのひとつであろう。レノン&マッカートニーの作曲コンビなど、その極みと言えよう。
そしてまた、U2のグロリアでの、あのギターのリフとヴォーカルの絡み合いは、まさにU2の真骨頂と言って良いのはないかと思う。なぜこの曲がベスト盤に収録されないのか!
 
話を戻す。ギターとヴォーカルという完全に異なる二筋の方法を一人の人間が一手に担うスリー・ピースというバンド形態は、いうなれば少年マンガだ。Little Barrie少年マンガとすると、U2は少女マンガと言えよう。
 
言えるワケがない。
 
頭の中で勝手に始まった妄想がここまで来て(その日はかなり暑かったのです)、僕は思わず苦笑してしまった。隣の女の子が不思議そうに、というより気味悪そうに見ている視線を感じて真顔になる。ステージではイエスのギタリストとして勇名を馳せたスティーヴ・ハウの息子さんが楽しそうにドラムを叩いている。イエス・・・あのバンドも、というかジョン・アンダーソンという人も極めて少女マンガ的な人物だった、ってそれはもういいっちゅうねん。
 
 BIGGERA CURLさんの記事「昨年のサマソニで一番感動した曲」を拝見してて、「今年一番良かったのはLittle Barrieだったなあ」と思っていましたら、その時考えていたことを思い出しました。こんなのをトラックバックしても良いのでしょうか。でもする。BIGGERA CURLさん、ゴメンナサイです。
ちなみに昨年のサマソニで一番感動した曲はコレでした。明らかにドラムの人が頑張り過ぎです(笑)
 
 
 
さあドラムを叩くんだ、誇らしげに
君の手が痛くなるまで
思い切り叩くんだ (訳:新谷祥子)
 
この歌詞じゃあ、力一杯叩かざるを得ないっ! ワタシも手が痛くなるまで叩きまくりました(笑)