賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

久し振りの週刊少年チャンピオン34号感想

待つにぃ…今週のアンケート、ドカドリの方が得票数が少なくなかったにぃ?
それだけじゃないにぃ
3巻は大阪屋の週間ランキングで圏外じゃなく堂々ランクインしていたにぃ
最終回の告知だって、ちゃんと3週間前からされていたんだにぃ、だから…
さ く ら D I S C O R D は 打 ち 切 り じ ゃ な い ん だ に ぃ !!

すみません、ただの一発ネタです。

しかしアレですな。最近の「てんむす」(稲山覚也)は、展開がヒドすぎて、いっそ愉快な気持ちになってきましたよ。「こんなのが連載続いてて、さくらDISCORDが連載終了とかフザけんなよ秋田書店」とか、微塵も思ってないワケですよ。いや本当に。

前にもちょろっと書きましたが、ちょうど4巻の最後に収録された第34話(「昔話」)で、「さくらDISCORD」という物語は描き切ったと思ってましたので、5巻以降は長い長いエピローグと申しましょうか。まったりと楽しませていただきました。ノ宮さんの過去話だけが気になるところでしたが、大体予想されていたものでした。ノ宮さんはいつも左手首にリストバンドをしていたので、もしかして某路上のカリスマみたく、そのリストバンドの下に深い傷があったらどうしようかと、凄く気になっていたのですが、とんだ杞憂でしたよ。ああ良かった。

昔、わたしたちの田村くん」というマンガを読んでいたのですが(この記事など参照下さい)、その作品に登場する松澤さんと、ノ宮さんはほぼ同じ境遇にあるのですが、そういうところが「さくらDISCORD」がラノベっぽいと言われるゆえんなのかなと、ちょっと思ってしまいました。「彼女の世界には悲しみだけしかないのだろうか?」とか、いかにもさくらDISCORD的なモノローグだと思います。
ラノベの世界は正直まったく知らないのですが、なんとなく「マンガと一緒なんだろう」と思っていて、「マンガの面白さを文章にしたものなんだろう」と勝手に判断しています。違ってたらスミマセン。

そういえば、なるしまゆりの「ライトノベル」が4巻で無事完結して、それがまた良い終わり方をしてホッとしたのですが、この巻でもなるしまゆりの物語に対する気持ちが語られていて面白かったです。フィクションという枠組みの中で語られているからこそ、かえって真っ正直に語れるんじゃないかと思います。

そもそも“フィクション”とは、なんのために存在するのでしょう
人の心には“ズレ”がある
存在し得ないヒーローに憧れ、美少女や美少年と恋をし
現実になってほしいわけじゃない怖い想いや憎悪の追体験すら
求めるような“ズレ”です

一握りの有益な本と
ほとんどの無益な本

リアリティの欠片もない
娯楽だけの物語群
でも、それは

まるでお菓子のように
人によっては欠かせない
食品のように

毎日のように
消費されて消えていきます

それは
人の性を映し
世相を映し
欲望を映し

あなたの眼には
汚物のように醜いのでしょう
少し同意します

でもオレはそれを
愛します

素晴らしい。この作品を描いてるのが、なるしまゆりだからこその説得力ですね。手塚治虫は「マンガはおやつ」と言ってたそうですが、その言葉には裏返しの強烈な自負心が読みとれますが、上記の言葉も、なるしまゆりの長年に渡って物語を描き続けてきた者の誇りが感じとれます。
あとがきで、「ライトノベル」は、例の都条例改正騒動がモチーフになったと語ってましたが、おかげでこういう良い作品が生まれたワケですから、石原慎太郎もたまにはいい事をするなと思いましたよ。多分、なるしまゆりファンでないと、この作品はそんなに面白くないかもしれないのですが、この人の「少年魔法士」を読んで、その身を投げ出すようにして読者に物語を叩きつける激情な作風にイカれた自分としては、大変楽しめた作品でした。もう「少年魔法士」の続きは描かなくってもいいやあ。もう、いいんだ(ハルカさんっぽく)。


それはともかく、本題の週チャンですが、怒涛の最終回ラッシュの中、楽しみな新連載も始まりそうですねえ。
ことに、35号のサブセンセイのバンドマンガと、38号から始まる木々津克久センセイの新連載には期待大です。
まあしかし、なんといってもイチバンの目玉はみつどもえ」(桜井のりお)の連載再開ですが。待ち焦がれてましたよ。

(続く・・・)