賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

先月買ったマンガ雑誌感想

先月出た楽園vol.9は、まるでエロマンガのようでした。

原因は主に新連載(「彼女達の最終定理」(大月悠祐子))にあるのですが、ここにきてシギサワカヤが本気出してくるし、今回は全体的にピンク色だよ。
恋愛とエロは切っても切れない関係にあるのですが、恋愛マンガにとってエロは一つの手段とみなすべきものであり、エロを目的としたエロマンガとはやはり異なるものではないかと思われます。

ですので、恋愛マンガの中にエロマンガが入ってると大層読みにくく、ええい邪魔くせえってカンジで、読んでてイライラしてくるのですが(最初の頃の黒咲練導もヒドかったなあ)、ことに大月悠祐子さんの場合、その作品に登場するキャラクターが非常に幼く見えますので、ワタシには小学生がエロに狂ってる風にしか思えず、読後感が大変よろしくないのであります。困るなあ。犬上すくね二宮ひかる大月悠祐子→竹宮ジンという順番で読んだ時の、この異様な喉越しの悪さを、誰かなんとかしてくれ! 嫌がらせかっ。

と、ちょっとばかり読みにくかった楽園でしたが、そこ以外は楽しく読めました。あんまりエロに走らず、ここは堅実に読者層を拡充していって欲しいものです。楽園も次号で10号と、いよいよ大台に達しようとしつつあり、巻末の編集人のコメントも力が入ってましたよ。

この先もこれまで以上に力の限りの至高の舞台を。
楽園は、ここにある。」というコピーに
ふさわしい本をお届けいたします。
どうかご期待下さりますよう。

うむ! 期待してますよ。ところで某雑誌の表紙にですね、



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楽園は、そこじゃねえよ!

喧嘩売られとるンぞ、白泉社ッッ!と、大人げなくむかっ腹が立っちまいましたよ。思いっ切りパクってまんねんがな。汚いさすが芳○社きたない。

とまあ、悪口ばかりになってしまうのは、本当にいけないことで、おかげで近頃雑誌感想がさっぱり書けないんですが、それはともかく、「シュトヘル」目当てで買った「月刊!スピリッツ8月号」についても少しく感想を書かせていただきます。悪口は書かないぞっ! なにが嫌いかより、なにが好きかで自分を語れよ!!

ええと、まずは一読して予想通り「シュトヘル」(伊藤悠)が浮いてましたなあと。シュトヘルと同じ系統の作品が、見事にひとっつもないなっ。これならゲッサンで連載してた方がマシなんじゃないだろうか。
ビジネスジャンプ時代の「イエスタデイをうたって」(冬目景)並みに浮いてましたよ。このビジネスジャンプ以上に購読者層が見えない月スピは、ちゃんとシュトヘルが完結するまで続いてくれるのでしょうか。ちょっと不安になってきましたよ。

とはいえ、面白いと思った作品もいくつかありました。「おもいでだま」(荒井ママレ)は、初めて読んだんですが普通に感動しました。さだやすあゆみさんの「三度のメシより」も良かったです。絵柄が好き。そして、萩野真がこんなところでマンガを描いているのに驚き、ついでにモリタイシがパンチラマンガ(「今日のあすかショー」)を描いていてビビりました。週サンで連載してた人なのになあ・・・。

諸行無常な心地でいましたら、ええっ、「今日のあすかショー」アニメ化!? 「いでじゅう」ってアニメ化されてましたっけ? 週サン連載作品がアニメ化されなくて月スピのパンチラマンガがアニメ化って、もう基準がワケ分からん。
しかし「いでじゅう」の頃から思ってましたが、このインタビューを読んで、やはりこの人のエロ観は自分にはまったく合わないなあと、つくづく思いました。こういう言い方は問題があり過ぎるのですが、なにぶん目線が変質者すぐる。なんだろう、思わず目を背けたくなるような類のエロティシズムだなあと。



はいはい、分かりました、分かりましたよ。

と、叱られてしまったので、次は先月創刊された別冊少年チャンピオン7月号」など。もう次号が発売されちゃうんですけどね。

創刊号の中で一番面白いと思った作品は、昔週チャンで「畳の上のミクロ」を描いていた吉木まさかずさんの「ハダカノタイヨウ」で、2番目に面白いと思ったのは「サクラサクラ」(もりしげ)でした、なんでみんなカタカナなんだ?

「ミクロ」は連載当時、評価は微妙でしたが、主人公のいささか病的な性格が一部で人気でしたねえ。今思うと、ミクロさんは「ベイビーステップ」(勝木光)の主人公(あだ名は「ノートくん」)に近いキャラだったんだなあ。今回も主人公がちょっとノートくんなキャラクターでしたが、「ミクロ」と異なる点は、ヒロインの姉崎さんがかなり魅力的だったことですね。

特に、主人公に、ここを直せばもっといいんじゃないかと指摘された瞬間に、「待って、すぐ直す」とすぐさま描き直すシーンが大変印象的でした。正しいと思ったら即座に採用するその決断力(リテイクです!)。「この人、本当にマンガ描くのが好きなんだなあ」と読者に思わせるに充分なシーンですね。マンガというのはこうでなければ!

こういうシーンを積み重ねていくことによって、読者はキャラクターに感情移入していくわけですが、どうも最近このテのシーンを描く人が苦手、っていうんですかね、ないがしろにするマンガ家さんが多くなってるような気がしてしょうがないんですよ。丁寧にキャラクターを掘り下げるのではなく、そういうのを面倒くさがって奇矯な振舞いでキャラを立てたことにして済ましてるカンジ。自分のキャラクターを愛してないんだなあということが丸分かりで悲しいですよ。「てんむす」の作者さんとか、ほんの少しでいいですから、「ああ、この人はこういう人なんだ」と読者が納得できる、印象的なシーンを描いていただけると嬉しいんですけどねえ。顔芸をやりゃいいってもんじゃないんですよ。そんなん、ただの虚仮おどしじゃないですか。


OKOK、分かってるって。

ということで、次回の「ハダカノタイヨウ」が楽しみです。作者の思いがダイレクトに伝わってくる「マンガ家マンガ」は好きなジャンルですので、この作品は長く続いて欲しいなあ。

SF的な設定の「サクラサク」も、これからどういう展開になるのか、楽しみですね。タイトルが少し「さくらDISCORD」とカブってるとか、そういう問題じゃない! まあヒロインさんがかなり好みのキャラクターという点が大きいワケですが(キャラ萌えかっ)、主人公が自分の理想とする人間関係(同級生)を構築しようと奮闘しているのが良いですね。前途遼遠ですが、応援したくなります。

平川哲弘米原秀幸細川雅巳阿部共実手代木史織石黒正数といった人達は実力通りの作品ということで、特に文句なし。これらの人たちが堅実に売り上げを固持して、サブ先生とか鈍足センセイとか、グーフィーの人とか、デザートローズの人とか、どんどん新人さんを積極的に登用できる環境が出来あがれば素晴らしいですね。よし、なんとか悪口は必要最小限に抑えられたぞ。