賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

鳥の歌

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なにげなくブックオフで買って読んでみたのですが、なかなか良かったです。カザルスという人はよう知らんのですが、面白い人だなあと。
 
音楽はいつも理想に生命を吹き込むために使われるべきだ。病的で破壊的な傾向を助長するためではない。なぜ芸術家が私たちの時代の不確実性にとりつかれなければいけないんだい? それよりも芸術家は、いくつものは破局を生き延びてきた人間の素晴らしさへの信頼を示すことによって、不確実性に反抗するべきだ。私たちの時代がどんなに暗く見えようとも、音楽は希望のメッセージをもたらさなくては。(114p)
 
うわ、いいこと言うなあ。まったくその通りだ。U2とか、まさにそうだよなっ。
 
 
「マエストロ、ロックンロールをどうお考えですか?」
「音に注ぎ込まれた毒ですね。生活からも芸術からも人間性を失わせるものです」(118p)
 
ぎゃふん。まあ、U2というバンドは本当にロックバンドなのかという問題は昔からささやかれておりますが、どちらかというとU2はカザルス的立場にいるような。U2からは毒というか薬しかもらったことがないぞい。 ミラクル・ドラッグ!
 
第一次大戦の残虐な年月に、初めてこの世界の悲惨さを目の当たりにしたとき、私はまだバルセロナにいて若かった。私は自問した、人間はこんなにもひどい苦しみを味わうために創られたのだろうか、と。この疑念に私は苦しんだ。私には、たった一人の子供の命のほうが音楽全部よりも価値があった。それでも、私が世界の狂気のただなかで精神の安定を保つことが出来たのは音楽のおかげだ。戦争中ずっと音楽は私に、人間はこんなにも多くの罪を犯し、こんなにも多くの苦しみを味わわせてもするが、美を作ることもできるのだ、と確信させてくれた。(126p)
 
これなどはボノさんチックだなあと思ってしまいますよ。そんなロックに否定的なカザルスさんですが、あらあら、こんな言葉も残してます。
 
 
「たぶん私は世界で一番高齢の音楽家でしょう。たしかに私は年寄りです。でも多くの点では若者です。皆さんもそうあってほしいものです! 生きているかぎり若者でいること、本当のことを世界に向かっていうこと。やさしさと愛、それこそがあるべき世界です。愛しましょう、愛と平和をもたらしましょう」
一九七三年六月、セントラル・パークでのコンサートで会場を埋めつくした観衆に贈ったカザルス九十七歳のメッセージ。死の四か月前だった。(215p)
 
 
ロックだなあ。LOVE&PEACE!(Or Else?)
こんなロックな演奏家がいるのなら、普段敬遠してるクラシックのコンサートにも行ってみたくなりますね。
最後にこの曲で締め。エヴァとか知らん。