賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

「楽園」3号を読む。

MVPは中村明日美子さんでした。

これは反則。最後は泣いてしまった。ツボに入った時の中村明日美子さんの作品の破壊力は凄まじいな。
ということで、とても読み応えのあった「楽園」3号でした。これは感想を書かないと!
 
今回の扉の言葉は、アイルランドの詩人、イェイツの「美しきものはみな / 水の如くに流れ去る。」でした。相変わらず、良いところから持ってくるなあ。なんとなく論語の言葉(「逝くものは斯くのごときか」)を思い出しますが、個人的にはゲーテのこの言葉を取り上げたいです。
 
「なぜ、私は移ろい易いのですか? おお、ジュピターよ」と、美が尋ねた。
「移ろい易いものだけを美しくしたのだ」と、神は答えた。  (「ゲーテ格言集」70p)
 
命短し恋せよ乙女ということですね(なんかちょっと違う)。ニリツさんと二宮ひかるさんのカラーイラストもエロティックでよろしいですな。
 
 

すきなひと(日坂水柯

今回も面白かったです。シロタと鏡子さんの関係と、亜純と真帆の関係をシンクロさせて語らせるくだりは、さすがと思いました。妹さんに二人の関係を説明しようとして、覚えず鏡子さんが絶句するところが可笑しかったです。それは普通、セッ○スフレンドというのでは?
 
 
なかなか評価の高いマンガ家さんなのですが、自分には今イチ、その良さが伝わってきません。
絵柄が好みじゃないのが難点なのかな?
 
 

コレクターズ(西UKO)

こちらも実に安定感のある4コマを提供してくれます。「お前らはなんでそうバラバラの反応なんだよ! 返事のしようがねえよ!」が面白かったです。最後の切ない終わり方は百合マンガならでは。
 
 

全ては一つの空の下(シギサワカヤ

前回は残念な回でしたが、今回は当たり回。とても楽しく読ませていただきました。
一見、まったく釣り合わないように見えて、実は相性バッチリの相思相愛なカップルを描くのが、本当に好きなんですなあ。
押し倒そうとするオトコに対し、全力で拒否するヒロインさんの猫っぽい仕草が可愛かったです。
 
 

楽園からのハッピーバースデー(沙村広明

いかにも沙村さんらしい、トホホな短編。ページ数は少なかったですけど、あんまりなオチも含めて、最初から最後まで楽しめました。こういう毒っ気のある作品は、これからの「楽園」には必要だよなあ。
 
 

ノミノ(宇仁田ゆみ

ムネが強調されるバッグのナナメ掛けを強引に止めさせたりとか、このマンガは本当にもう、 「うがい!」な気持ちにさせられますね。
 現在、絶賛遠距離恋愛中の二人ですが、これからどんな波乱が巻き起こるのか、今からハラハラしております。志望校に落ちたり、「カンジ悪い男」と認定されたりと、この主人公の微妙な運の悪さが、そこかしこに描写されてたりしてますので、この恋愛も、ただじゃ済まないだろうなあというところが、たまりません。
 

ひたひた(鶴田謙二

伊万里マリエルさん、なにやってんですか。
まったくオチてないところが凄いなあ。
 
 

思春期生命体ベガ(林家志弦

いよいよ、林家志弦さんも白泉社デビューですよ。
主人公は高校生ということで、中学生がメインの「はやてXブレード」の面々よりも頭身が高いのですが、個人的には、林家志弦さんのキャラは、この頭身設定がかなり好き。「はやてXブレード」も主人公ズが高校生だったら良かったのに。ひつぎ会長も高校生のハズなんですが、微妙に頭身が低いんだよな。
それはともかく、「楽園」でどんなお話を描くのかと思っていましたら、いつも通りの林家志弦だなっ。
さすが、電撃大王からウルトラジャンプに移籍しても微塵も作風を変えなかったお人ですぜ。
この短編を読むと、林家志弦さんという人は基本、「少年まんが」と言いますか、古き良き少年マンガのメンタリティーを持った人なんだなあと改めて認識しますね。友情!努力!!勝利!!!
流血スキーなのも、その一環ですね(笑)。面白かったです。今度は是非、秋田書店デビューを目指して下さい。
 
 

想いの欠片(竹宮ジン)

女の人しか愛せない女の子が、男の人しか愛せない男の子と仲良しになりましたよ。なんだこの人間関係。
しかも、どう見てもお兄ちゃんのことが大好きな妹さんも登場するし、これはどう転んでも面白くなるなっ。
百合姫の方で執筆していた作品を読んでみると(「ラブフリッカー」)、こちらはベタ甘系が多くって、そうなると「想いの欠片」では、反動でハードなお話が多くなりそうな気がしますね。
話が逸れますが、「ラブフリッカー」のあとがきは、竹宮ジンさんの百合マンガラブっぷりがうかがわれて微笑ましかったです。もう一生百合マンガ描いててください。
 

山高帽子コワイ(竹田昼)

満を持して芥川龍之介が登場。やっぱりヘンな人だ――!
 
 

白昼夜話(二宮ひかる

なぜか、愛する人の未来だけが見えてしまうOLさんのお話。やはりこの人の会社モノはイイ!
事態の根本的解決は無理だけど、それなりに前向きに生きてゆこうというオチを付けたのは新鮮でした。
これは二宮ひかるが成長したと考えるべきなのでしょうか。ヒロインさんのこういう表情とか、初めて見たなあ。
8月に発売される作品集が楽しみですね。紆余曲折があったなあ・・・(しみじみ)。
 
 

ろみちゃんのめばえ(武田春人)

これでもう少し、絵が丁寧だったら・・・。
まあしかし、なんちゅうかこう、読んでて色々心にクるものがありますな。 
続きを読むのが段々楽しみになってきましたよ。
 
 

ディアティア(かずまこを)

桐ケ谷さんと成田くんの二人で回していくと思ってましたら、まさかの第三のキャラが登場ですよ。
これはまた、ベタな三角関係をもってきますねえ~。
この新キャラの鈴音さんがですね、性格といい髪型といい、俺の嫁と似ているから困るのですよ!
この前までの静かな展開から、いきなりダイナミックな人間関係が構築されましたが、これからどうなるのか、目が離せませんね。 
 

夜を重ねる(中村明日美子

今回のMVP作品。携帯での「今まで本当にありがとう」でグッときて、最後の「結婚して下さい」で涙腺が崩壊した。前半のハイテンションなノリから一転しての展開だけに、背負い投げを喰った気持ちです。やられた。
こういうダイナミックな展開は短編ならではですね。後半からの(「全部大事に持っててくれてたの」)、ギアの掛かり具合はお見事でした。とても面白かったです。
 
 

乙女ループ(鬼龍駿河

改めて見ると作者さん、凄い名前だな。
それはともかく、今回はまあまあな回。
 
 

テオブロミン(黒咲練導

これはこれで、個性を認めるべきなのだろうか。う~む。
目の下のクマをやたら描き込んだりとか、そういう描写に作者さんの自意識が透けてみえるのが、なんかヤダ。
本当に作者さんは、こういうのが描きたいのだろうか? と読んでて疑問に思ってしまうのがヤダ。
なんというか、もっと全力で素直に描けないものだろーか。
 

同窓生代行(売野機子

実に少女マンガなお話でした。今回は大島弓子さん風というより、岩舘真理子さん風でした(笑)
相変わらずモノローグが冴え渡っていて、残酷なまでの「痛みと喪失」がよく表現されていますね。
しっかし最後に、こういうお話をもってくるところがイヤらしいよな。なんか少女マンガ雑誌を読んだって気になっちゃうじゃないですか~。黒咲練導とか、どうでも良くなっちゃいましたよ。
売野機子さんの作品は、確かに最後に持ってきた方が良いかもなあ。
 
 
 
ということで、大変楽しかった第3号でした。今までで一番楽しかったかな?
1号が「BOY」で2号が「OCTOBER」、そんで3号が「WAR」ってカンジですね。ここに来てU2ネタかっ。
次号は木尾士目あさりよしとおが参加ということですが、あさりよしとおかあ。そうねえ、るく、可愛いよね
でもですね。ワタシが欲しいのは「るくるく」の人じゃなくって、「アコニー」の人なんだよっ! 何度も言わせんでください。
そして、木尾士目も、とうとう「楽園」本誌に来てしまったかあ。ワタシがアフタヌーンの購読をやめてしまった理由の一つが「じごぷり」が読んでて不快だからってのがあるんですが、こいつは困ったぜ。
それにしても「楽園」のアフタヌーン攻勢は、どこまで続くんでしょうねえ。とりあえずは冬目景を引っ張ってくるまでは続けて欲しいものです。アコニーが終わりそうですし、冬目景さんの新作は是非「楽園」で!!