賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

No Line on the Horizonって「お先真っ暗」とか訳せるのかな?

新作は、2009年2月のリリースが予定されている。現在『No Line On The Horizon』との仮タイトルがついているが、これは「無限をイメージしたもの」だという。「ボノが言ったことなんだ。前には進んでるけどどこへ向かっているのかわからないとき…、空と海がひとつに溶け合う。無限のイメージだよ。禅のイメージとでも言うのかな」。


こちらの記事からの引用ですが、禅というか、ランボーのイメージですな(「また見つかった、何が、永遠が、海と溶け合う太陽が」)。

それにしても、近年のU2のインタビューには、「禅」という言葉がちょくちょく出てきますねえ。恐らくは、ワタシの考えてるよーな意味での禅ではないんだろうなあとは思いますが(笑)、それでもU2から禅などという東洋の言葉が出てくるのは、イチ東洋人として嬉しい限りであります。

ワタシの見立てでは、西洋的に表現すると、神秘主義的というか、悪い意味でのヒッピー的なニュアンスに傾いてしまいそうなので、それを迂回するために禅という言葉を引っ張り出してきたのではないかとニラんでおります(笑)

それはともかく、酔月亭さんの記事などで、新作「No Line On The Horizon」の情報が徐々に伝えられてきてワクワクしてきますね。

00年代に入ってからのU2は、「蒼天航路」(王欣太)の言葉を借りれば、「俺がこのさき得るべきものは、その中身だよ」と言わんばかりの、これまでのタブーを破って、過去を振り返ることを厭わない姿勢でアルバムを製作してきたのですが、いよいよ新作で、その方法論が完成の域に達するのではないかと、エッジのコメントを見て思いました。

「ぼくらは何年もかけていくつかのことを学んだんだ」とギタリスト。
「そしてこいつは過去のすべての発見をもたらすに耐えうるんじゃないかと思う」(酔月亭さん訳)

90年代において、U2は彼らの最大の強みであるバンドサウンドを、あたう限り解体し尽くしたのですが、それが00年代において、ようやく実を結んできたということでしょうか。徹底的な自己否定により、さらに強固に「U2らしさ」というものを獲得できたのだと、今だからこそ思えてきます。う~ん、禅だ!(笑)

クリス・ブラックウェルがよく言っていた。「U2には特別なものがある。それがやってきそうな感じがずっとしてるんだが、全然到着しない」。(「ボノ・インタヴューズ」100ページ)

いまだ自分が探しているものが見つかっていない彼らですが、今作でこそ、U2はU2となることができるのかもしれません。むう、これは燃えるぜ!

ええまあ、要するにトランスだろうがなんだろうが、どんなアルバムになったって、ちっとも構わないのですが、つまるところ「Miracle Drug」みたいな曲が1曲でも入っていれば、万事オッケーなワケですよ!(笑)

神秘と、微笑と、かそけさといったものが「Miracle Drug」の魅力だと思うのですが、大きな会場で演奏すると、その「かそけさ」というものが霧散してしまうのだなあ。あまりにパーソナルな曲として受け止めてしまってるのが問題なのだな。

ひとつの方法として、アコギ・ヴァージョンでMiracle Drugを演奏してみるのはどうだろう、と時々夢想します。今度のツアーでは是非、アコギ1本で演奏してみて欲しいです。アコギといえば、この演奏はエエなっ! この曲大好き~。
エッジのヴォーカルが良いというより、ボノさんとエッジのハモり具合が、凄くイイですねっ。バックヴォーカルに徹するボノさんは好きだなあ。新作でも一杯ハモってください(笑)


さて、勿論ワタシは「Smile」のコトを忘れてたワケではありませんよ?(笑)
前回、後半部分の歌詞を省いてしまったのですが、その理由は「意味がさっぱり分からん」という点が大きいですね(笑) こんなの訳せらんないよ、smoke machineってなんじゃ~い!

I will live again/You will live again/I dont want to see you smile(私は甦るよ、そして貴方も。私は貴方が微笑むの見たくないんだ)という美しいリフレインは、「死せよ、そして生きよ」と神秘主義的な響きを持ってますが、生き返った人というと、これはナザレのイエスをイメージしてるのでしょうか。
そして、イエスが生き返っても、笑って欲しくない人っていうと、イスカリオテのユダなのかなあと、一時期ユダ説にかなり傾いていたのですが(笑)、「ボノ・インタヴューズ」を読み返して、こんな文章があったのを発見したのですよ。


親父にとって最大の興味は、子供を持つことになって、僕が父親であることがどういうものかを知ることだった。その痛みや悩みなどをね。だから、僕が会いに行ってアリが妊娠したと言ったら、笑い出したよ。笑いを止められないんだ。「何がそんなにおかしいんだい?」。そうやって僕が訊くと、親父が言ったね。(とても低い声で)「復讐さ」。(「ボノ・インタヴューズ」39ページ)


俺が父親になったからって、そんな笑うことないんじゃないかなって・・・まあ実に強引な解釈というか、こじつけもいいところなんですが、Smileは、HTDAABのセッション時に生まれた曲で、あのアルバムはHow To Dismantle An Atomic Bobでもあったワケですから(原子的ボブの解体方法!)、Sometimes You Can't Make It On Your Ownや、One Step Closerと同じく、父ボブ・ヒューソンへの鎮魂歌とも・・・いや、強引ですね(笑) Smileが上記の2曲と同じく、痛みを感じる曲ですので、なおさらそう思うのかもしれません。悲しみと喜びが、痛みをともなってひとつに溶け合う至福な感情・・・また見つかった!(笑)

しかし、「ボノ・インタヴューズ」は、本当にボノさん、色々ぶっちゃけてますねえ。最近、読み返して改めてまた、たまげております(笑)
44ページには、神への信仰についての親父さんとの会話が載ってますが、ボブ氏に劣らず、ワタシもショックを受けました。ぶっちゃけるなあ、もう(笑)


と、それはさておき、今回も色々勉強になりました。Smile=善いものと、単純に解釈してましたが、豆鯛さんのコメントで、全部が全部イイものばかりではないという、当たり前の事実にも気づくことができました。ありがとうございます。
ボノ・インタヴューズ」は、また再開したいなっ。