賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

改めて2007年を振り返る。

四季大賞の「魔女が飛んだり飛ばなかったり」(太田モアレ)が良かったですね。

個人的には、腹の音が「メメタァー」なコマが一番気に入りました。ナツオ様、いいなあ。
この人、いつだったかの四季賞で「囚われクローン」を描いた人なんですね。「聖書を読め」のシーンが一番印象に残ってましたが、今回の魔女狩りのエピソードといい、そういう方面に関心のある人なんだな、うむうむ。

こんばんわ、アフタヌーンは意地でも1000ページ超えする気なんだな賽の目です。ポータブルも加えたら1200ページいきますよ。


と、順調に前フリを済ませたところで本題ですが、昨年を振り返ってみますと、2007年の前半は「機工魔術士」(河内和泉)、2007年の後半はPOLYSICSに尽きるかなと。こうして検索してみると、ハマり具合が如実に分かりますな。

自他共に認めるマンガ好きの賽の目ですが、近年、マンガへの情熱が衰えつつあり、「もう昔みたいに夢中になれるマンガには出会えないかな~」と諦観しかけた矢先に「機工魔術士」に出会ってしまったのですから、ワタシのマンガ運って、かなり強いんだよなと、我ながら思います。

しかもそれが、ガンガンWINGという、一般の人には、とんと縁のなさげなマンガ雑誌で連載されていて、内容もジャンル的には「お色気マンガ」に属するものでして、まあ絶対に「このマンガがすごい!」にはランクインしそうもないっすな~、なのが素晴らしいです。

ワタシは、よくネット上で見かける言葉、「レベルが高い」という言い回しが、なぜか大嫌いで、「レベルが高いからどうだってんでえ」と、反発してしまうヘキがあるのですが、「このマンガがすごい!」には、そういう「このマンガはレベルが高いんだぜえ~」的な雰囲気が充満してそうで、どうにもニガテなんですが、そういう個人的事情はともかく、「機工魔術士」は、全然レベルが高くないので、安心して読めます(笑)

そんな素敵なマンガを描いてらっしゃる河内和泉さんですが、その人が「賽ドリル」という仏教マンガを描き出した時は、本当にビックリしたんすわ~。
というのもワタクシ、いつか日本で仏教ロックをやりだすバンドが出てこないかなあと、昔から夢想しておりまして、別に日本じゃなくてもいいんですけど、ヘンに教養主義的なものじゃなく、あくまでロックのイディオムの中で、ブッディズムを表現するような・・・まあ要するに、U2の「In God's Country」みたいな曲を書いてくれるバンドが出てこないかなあと、ずっと思ってたんですよ。その場合は「In Buddha's Country」になりますが(笑)

それを先に、ロックじゃなくて、マンガの世界でやられてしまって、しかもそれが「機工魔術士」の人ですから、驚いたなんでもんじゃないですよ。普段、こういうマンガを描いてる人だからこそ、仏教マンガを描けるのですな。うん、とにかく驚きました。

昨年11月に出た「機工魔術士」の最新刊(15巻)も良かったです。これまで頑なにフルカネルリの死を認めなかったユウカナリアが、とうとう死を受け入れるシーンが泣けました。


死者は去るのではない。還って来ないのだ。と言うのは、死者は、生者に烈しい悲しみを遺さなければ、この世を去る事が出来ない、という意味だ。それは、死という言葉と一緒に生まれて来たと言ってもよいほど、この上なく尋常な死の意味である。

と、思わず小林秀雄を引用したくなる程、胸にきたのですが、この物語は、「死者の哀悼」がテーマだったのだなあと、改めて認識しました。
そして、この期に及んでも、なぜフルカネルリが死んだのかが、いまだ明らかにされてないところがニクいです。すべての鍵を握ってるパラケルススが大悪党である可能性が捨て切れない以上、とんでもない大ドンデン返しが用意されている可能性もあり、終盤に至っても、いまだ緊張感が持続されてるワケで、やるな、河内和泉

15巻の終わり方がまた、メルクーリオ(&北都)が参戦するところで以下次巻になるという展開で、畳み掛けてきますねえ、燃えるねえ。一気にクライマックスになだれ込みそうな気もしますし、全ての伏線が明らかになってない以上、もうちょっと引っ張りそうな気もするし、気をもたせるなあ。この終わり方からして、今後の展開は大体固まってると思うのですが、「少年魔法士」(なるしまゆり)のように、2年間経っても続刊が出ないなんてことにならないよう、祈るばかりです。

少年魔法士」におけるアークとナギの関係は、「機工魔術士」におけるフルカネルリとユウカナリアの関係と、ちょっと似てますね。年若い人間(男)と生まれてまもない妖精(女)との、こういう関係(→)は、すごく好きだなあ。


「そんな事私が知るか お前が考えろ!!」
「私が考えるのか?」
「そうだ!! お前が考えろ
・・・そうしていつか、それを私に教えてくれ」


ある意味、「少年魔法士」のかわりに「機工魔術士」で教えてもらったような気がするのですが、いつまで経っても続きを描かないからですよ、もう! 「鉄壱智」を始める前に、何とかして欲しかったなあ、少年魔法士。上のセリフが出てくるのは10巻なんですが、もう5年も昔の話ですよ。


よ~し、ポリシックスに触れるスペースがすっかりなくなってしまったぞ。
去年はなかなか更新できなくって、書きたいことが一杯あるんですよ(泣)