賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

POP

ボノ:僕が大好きなシングルの一つに、ドナ・サマージョルジオ・モロダーと一緒に出した「I Feel Love」がある。僕がショックを受けたのは、エレクトロニカをバックにした時の彼女の声の方が、ライヴのディスコ・バンドをバックに従えた時よりもソウルフルに聞こえたことなんだ。「これは面白い。人間の声は対比によって引き立つんだ。実際エレクトロニカと比較されることで、より人間的になるものなんだ」と思ったよ。僕はクラフトワークのことをヨーロッパで最も優れたソウル・グループだと考えていた。彼らは大きな声は出してはいなかったけれど、彼らの小さな声が本当に僕を感動させたのさ。彼らの音楽にある哀愁に反応したんだよ。僕らはエレクトロニック・ミュージックに夢中になり始めていた。そしてそれは『Pop』で最高の状態に達したと、僕は思うんだ。(157ページ)

ドナ・サマーといっても、暴れ牛のことではありませんよ?

当たり前だ。みんながみんな、「はやてXブレ-ド」(林家志弦)を読んでると思ったら大間違いだ!

と、それはともかく、上記の言葉は、『焔』の時期での発言なんですが、焔→POPという、意外な流れが、ここに浮かび上がってきました。
90年代のU2を、「大いなる遠回りの10年」と形容することもありますが、もしかしたら、カントリーやブルースなどのルーツ・ロックにずっぽりハマっていた、あの頃こそ、“偉大なる回り道”だったかもしれません。
ヨシュア」や「魂の叫び」が、あんまり素晴らし過ぎるので、なかなかそういう風に考えるのは難しいのですが(笑)

「POP」に関しては、cu_from_mixi2さんが、懇切丁寧な記事をものしておられますが、これにあえて付け加えるなら、ブラック・ミュージックへの憧憬が最高潮に達した時期でもあったんじゃないかと思います。

エレクトロニカとブラック・ミュージックとのダイナミズムに溢れた融合、それがポップマート・ツアーを始めとする「POP」期のU2の目指していたものではないかと仮定して、その結果、彼らの最大の強みである「バンドの結束力」が低下してしまったと。アイディアが野心的すぎて、バンドとしての求心力が損なわれてしまったような印象があります。彼らもすごく熱心に学習して、かなりいいところまで行ってたと思うのですが、力尽きてしまったかなと(笑)(ボノさん曰く「二日酔いみたいなアルバムになってしまった」)

ま、ま、今申し上げたのは単なるワタシの妄想ですので、それは置いときまして、ドナ・サマーの「I Feel Love」をお楽しみください(笑)



I Feel Love(Donna Summer)