賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

With Or Without You

しかし、歌詞には本当に悩まされたね。というのも、その時僕の頭の中ではアートに対して忠実であるべきか、愛する人に対して忠実であるべきかっていう葛藤があったんだ。この二つが争ったらどうする。自分の天職と家族に対する責任との対決かってね。僕はいつでも、人んちの床で平気で寝るようなやつだった。旅するネズミ、根っからの放浪者だ。ふらりと出てって、それで幸せだった。ところが今は自分の命よりも大事に思う人が人生の一部として存在している。ひょっとして書けなくなったのは、自分の中の野生を失ったからんだろうか。飼い慣らされちまったのかって悩んだね。誰かと出会って、一緒についていきたくなって、その人の世界がどんなものなのか見てみたいと思っても、できやしないんだ。僕は結婚しているからね。それは不貞以前の問題だ。こんな風に思ったものさ。「アーティストの人生がこんなのでいいのか? これから先、子供を持って、落ち着いて、天性の才能を裏切ってしまうのか、それとも結婚生活を裏切るのか?」って。そうやって頭の中がすごく混乱していた時期だった。これまでにも自分のうぶさ加減、と表現するのが一番的確だと思うんだ・・それにつけ込んでくる奴が何人かいて、自分の世間知らずぶりを思い知らされたものだけど、今やますます世間に取り残されていくような気がしてきてた。政治や文化は学ぶことができるけど、人は感情面でも成長する必要があるじゃないか。でも、僕はある意味で成長してなかったんだ。それでこんな不安になってた。自分の中には少なくとも二つの人格が混在してたんだ。責任感と包容力のある忠実な自分と、ひたすら責任から逃れながら放浪していたい怠け者の自分さ。そしてその葛藤が僕を引き裂くような気がしてた。でも実は、それこそが自分というものだったんだね。その葛藤が生み出す緊張感こそが僕をアーティストにしてくれてたんだ。矛盾のド真ん中、そこが居るべき場所だ。そして見事に僕は誠実でありながら、想像の世界で漂いつつ、心では神を知り、頭では世界を知り、荒れ狂いそうなロックスターであり、悔い改めなくちゃいけないと分かっている罪人でもあった。それがみんな自分の中でいっぺんに動いていたわけだけど、当時はそういうことだとは分かっていなかったんだ。(181ページ)


引用長すぎだって。

いやスマン。不覚にも感動しちゃって・・・
当時のボノさんの心境が見事に総括されてますなあ。この頃のボノさんの尋常ならぬテンションから繰り出される楽曲群、With Or Without Youは勿論、主にシングルのB面へ流出したSweetest Thingとか、Luminous Timesとか、Walk To The Waterとか、Deep In The Heartとか、Hallelujah Here She Comesとか、死ぬほど好きだったんですけど、その理由がなんかちょっと分かってきたような・・・

ちなみに上記の文のすぐ後で、シェーン・マガウアンに憧れていたと、ボノさんが告白していますが、ボノさんに憧れている人は星の数ほどいるでしょうけど、マガウアンに憧れている人って、あんましいないだろうなあって。
要するに、マガウアンに憧れるボノさんに萌え、ということで!(笑)

そして意味もなくポーグスの名曲をようつべってみたり。

Fairy Tale Of New York(The Pogues)

      


う~ん、アイリッシュ。男性ヴォーカルがマガウアン、女性ヴォーカルはカースティ・マッコールヨシュアの曲順を決めた人ですな。




追記:
本来なら『「U2 BY U2」を読む』に入れるべきなんですが、ちょっとネタがないんで、とりあえずこちらに挙げておいたり。スマンだす~。