賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

ジャバウォッキー(久正人)を読む

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げえっ、ジャバウォッキー、おんもすれー!

と、驚いてしまうのも失礼な話なのですが、本当にゴメンナサイ。ワタクシ、この人は前作の「グレイトフルデッド」で、もしかしたら才能を出し尽くしてしまったかもな~とか思ってました。

とんでもない話でした。前作以上にブッ飛んだ作品を作り上げてきましたよ、この人は。ビックリしたなあ、もう。まだまだ、伸び代を十二分に残していたのですねえ。

グレイトフルデッド」が、颯爽とマガジンZに登場した時は、「ウエダハジメの後継者が現れたぜ、おい」と思ったものですが、例えばこのページ、ヒロインのコリンが縦横に活躍する姿を、絵師のウー先生(真ん中の人)が活写するのですけど、

きゃ~、カッコEであります!

惚れましたわ~。よくこういうの思いつくよなあ。マガジンZは、どっからこの才能を発見してきたんでしょうねえ。この独特のセンスには、ただただ脱帽するばかりでした。

そんなワケで、残念ながら打ち切りっぽい形で終わってしまったものの、「グレイトフルデッド」で、久正人は、その特異な才能を遺憾なく発揮したのですが、、「ジャバウォッキー」においては、その才能をまた違う切り口で見せつけてますなー。てっきりまた、キョンシーもので来るのかと思ってましたよ。

これは一応ガンアクションのジャンルに入るのでしょうか?
より白黒のコントラストが強調され、構図もより大胆なものとなったため、時に「トライガン」(内藤泰弘)よりも、アクションシーンがワケワカメになってる場合も、ままあるのですが、そういう読み辛さが、まったく苦にならないのは、まあそれはワタシが久正人に惚れてるからなんでしょうね(笑)

グレイトフルデッド」の最後の方では、孫文が出てきたり、恐竜のキョンシーが出てきたりしてましたが、「歴史上のキャラが登場」「恐竜」の流れは、「ジャバウォッキー」へと、引き継がれていたのですね。このニコラ・テスラにはビックリですよ。う~ん、「グレイトフルデッド」の続きを読むのは、あきらめるべきなのか。「コリンが母親を倒す」という伏線は回収して欲しかったですよ(泣)

なんだか、「グレイトフルデッド」の話ばかりしてますが、改めて「グレイトフルデッド」を読み返して、やはりこの作品は傑作だなあと感服してしまったワケですよ。
この「ジャバウォッキー」が、「グレイトフルデッド」を超える作品となるかどうか、まだ判断はつきかねますが、今のところは「すごく面白い!」という段階です。

今回も女性が主人公ですが、「グレイトフルデッド」のコリン&リンチュウ先生と同じく、リリー&サバタのコンビも良いカンジですな。
久正人のキャラ作りは、なんというか映画チックというか、ワタシは映画を全然観ない人ですので、上手く言えないのですが、「観せる」ことを最優先した造形の仕方をする人だなあと思ってます。

サバタを筆頭に、登場人物たちは、なかなかクサい台詞を連発するのですが、それも「観せる」ための言葉だなあと。上手く言えないんですが。
世界設定といいますか、彼らの所属する「イフの城」という組織も、その目的も規模も曖昧なのですが、それは特にはっきりしなくっても構わないんだろうなと思います。

「考えるんじゃない、感じるんだ!」ではないですが、なにかと考えて読んでしまいがちなワタシには、考える前に観ることを要請される「ジャバウォッキー」には、手こずりながらも大変楽しく読めました。マンガは面白いなあ。

なにはともあれ、久正人が、また面白いマンガを描いてくれたのは嬉しい限りです。才能ある人なんですから、一生マンガを描き続けてください。