賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

Walk Onを聴く

ここしばらく、Walk Onばかり聴いてました。


この曲は、ワタシにとってはずっとニガテな部類に入る曲で、メロデイもサウンドも素晴らしいのだけれど、ただひとつ、A singing bird in an open cage,Who will only fly, only fly for freedomという一節が、どうしても気に入らなかった。

なんだか安手のポップソングみたいな、甘ったるい表現だなあと、常々不満に思っていたのだが、改めて歌詞を見直してみると、え、あれ? 「open cage」って、開いてるの?

なんとなく、自由を求めているのに閉じ込められている鳥が、カゴの中で切なく歌っているイメージがあったんだけど、あ、開いてるんだあ。

つまり、この鳥は自分の意思で、カゴの中に閉じこもっているのだな。その翼は空を飛ぶために生えているのに、でもその鳥は歌うばかりで飛ぼうとしない。

で、その一節の次にはwalk on,walk onという言葉が続き、そしてStay safe tonightと締めくくる。

カゴの外は、自由は、そんなにいいコトばかりじゃない。自分の力で食べ物を探してこなきゃいけないし、逆に猛禽類に食べ物にされてしまうかもしれない(笑) それに比べれば、カゴの中で食べ物を恵んでもらって安全にぬくぬくと過ごしてた方がよっぽどラクさ。

でも、やっぱりキミはカゴの外に出るべきなんだよ。苦しいことばかりだけど、それでもカゴの中に閉じこもっていてはいけないんだよ、そして、どうか無事でいて。

しまったあ、そういうことかあ。「グリックの冒険」ですよ。いい歌詞じゃないですか。
この曲が発表されて5年、ようやく僕は、この曲を理解することが出来ました、遅すぎ(笑)

となると、これまでの反動で毎日iPodで、朝晩の通勤時にも聴きまくるワケですよ。最後の「All this you can leave behind」を連呼するところは、いやがおうにも燃えますねえ。
ここはあえて、「エキサイト翻訳」の無骨な訳文で(笑)

All that you fashion あなたが作成するすべて
All that you make あなたが作るすべて
All that you build あなたが建てるすべて
All that you break あなたが壊すすべて
All that you measure あなたが測定するすべて
All that you steal あなたが盗むすべて

All that you reason あなたが推論するすべて
All that you sense あなたが感じるすべて
All that you speak あなたが話すすべて
All you dress up あなたが飾り立てるすべて
All that you scheme... あなたが計画するすべて・・・

これらをみんな放擲しちまいなー、っと言ってるのですな。
なんとなく、ジョン・レノンの「GOD」を思わせるフレーズですが、これはまた小林秀雄が「信仰について」という短いエッセイの中で語られている文章をも思い起こさせます。

私は宗教的偉人の誰にも見られる、驚くべき自己放棄について、よく考える。あれはきっと奇蹟なんかではないでしょう。彼等の清らかな姿は、私にこういう事を考えさせる、自己はどんなに沢山の自己でないものから成り立っているか、本当に内的なものを知った人の眼には、どれほど莫大なものが外的なものと映るか、それが恐らく魂という言葉の意味だ、と。

all that you can't leave behind――あなたがどうしても捨ててはおけないもの、とは、まさしくこの魂のことではあるまいか。うむ、クサイな! でもいいの、今はちょっとセンチメンタルな気分なの、そっとしておいて(笑)

とまあそんなこんなで、ここ一年ばかし、ずっとHTDAABばかり聴いてましたが、そろそろ今度はATYCLBを、もう一度しっかり聴き込んでみようかなと思ってみたり。