賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

山名沢湖3冊祭り

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さて、三ヶ月続いた山名沢湖3冊祭りも、いよいよ閉幕ですが、皆さんご存知でしたでしょうか?
マイナーなマンガ家さんが、毎月単行本を出すのですから、そりゃあ、お祭り騒ぎですよ!
おそらく全国で、のべ268人くらいが参加したんじゃないかなーって思います(少なっ!)。

さて、ワタシはこの三冊の中では、「レモネードBOOKS」が一番気に入りました。
何が気に入ったって、そりゃあ登場人物が、むちゃくちゃ純情なんですよ!

なんたって第一話(『扉を開けて』)では、涙が早く乾くようにって、風を送ってくれるんすよ。

そして第二話(『ゴドーを待ちながら』)ではですね、初デートで、待ち合わせの時間よりも3時間早く来てたりするワケですよ。ぬあ~~!!

そんでもって第三話(『いつか晴れた日に』)になると、棒立ちの青春ですよ。直立姿勢で告白ですよ。ええい、今はいつの時代だ!

まったく、ういういdaysどころの騒ぎじゃないですよ、ういういminutesですよ!
しかも『ういうい』の面々は高校生ですが、『レモネード』の二人は大学生ですから。今時いねーよ、こんなヤツら!
という次第で、冒頭の3話で、メロメロになってしまったのですが、本当にノックアウトされたのは、第七話(『おもいでエマノン』)のラストです。

――今でもね
本棚の間に立つと思い出すの
あの頃の感じ
図書館に住めたらいいなって思ってた
本に囲まれてごはん食べたり眠ったりするの
君もそんな顔して本棚を眺めてるね
幸せそうだね

なうっ! そうでした。ワタクシも幼少の頃は、図書館っ子だったのですよ。そんなことすっかり忘れてましたよ。
今ではマンガに囲まれてごはん食べたり眠ったりする状態なのですが、昔は図書館で本を借りて読みまくっておったのだなあ。

第四話の『彗星問答』では、ヒロインの友達が、ヒロインと付き合うようになった岩田くんを、このように評してます。

ジャンルに偏見もないし、かといって
こだわりがないわけでもない。
オタクだけど、いいオタクだよ、彼は。

そうだよな、どうせオタクなんだから(開き直り)、いいオタクになりたいよね。

マンガに関してはですね、ワタクシ、ちょっとだけ自信があるんだ、偏見がないってことに。
いいマンガオタクだと、自分でもほんの少しだけ自惚れてるところがあるんですが、本かあ。本はちょっとなあ。
これでも昔は、『窓際のトットちゃん』とか『積み木崩し』とか、読んでたんだけどなあ。赤川次郎とか、西村京太郎だって読んでたぜ! シドニー・シェルダンだって目を通してたよ!

今では、偏見にまみれた読書をしておるのですが _| ̄|○


マンガだけではなく、本に関しても、もちっと幅広く読まないとなあ。『レモネードBOOKS』を読んでて、身につまされました。

とまあ、ワタシの反省はともかくとして、お話の内容もようございました。さりげなく初期の頃の作風が垣間見えるところもグッドですね。ある意味、山名沢湖の完成形というか、自分の描きたいことと、世間から求められていることとの折り合いが、自然についてきたなあというようなカンジ。

こういった、世間におもねるというか、消費者側の需要に応えて作風を変える事に対して、冷笑的な態度を取る人がいらっしゃいますが、そういうのはどうかなあと、ワタシは思います。
自分の描きたいことだけを描く、というのは確かに素晴らしいのですが、それだけだと表現者としてはツマラないんじゃないかと思う。そういう世間のやっさいもっさいと格闘しつつ、その枠の中で、自分の表現したいことをねばり強く、コツコツと追求してゆく。そっちの方が、世の中にヒネた態度を取って、独りよがりな作品を描く人よりも、カッコいいんじゃないかって思います。

そういう意味で、ワタシにとって山名沢湖という人は、かなりカッコいい人です(笑)
だってコミックハイですよ、コミックハイ! 普通描かんでしょう!
その雑誌で、堂々と委員長オムニバス漫画を描くわけですよ、山名沢湖は。カッコいいなあ。

長い雌伏の時を経て、ここまで人気を獲得することができた山名沢湖が、今後どこまで、このノリノリモードを続けられるのか、いちファンとして楽しみです。

そして最後に、巻末のゲストページで、堂々とヒロインの下着姿を描いた新井葉月も、なかなかカッコいい人だと思いました、容赦ないな、キミ!(笑)