賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

二宮ひかると犬上すくね

安原の猛烈な格下っぷりが凄かったですね(挨拶)。


いい加減、部屋中本まみれな状態にガマンできなくって、えいやと片付けしました。
「本」というと、きこえが良いですが、要するに「マンガ」でして、さらにはその半分近くが少女マンガなのは、いかがなものかと自分でも思う。
やむなく、50冊くらいのマンガを処分して、ようやく床に散らばってたマンガを本棚に収める事ができました。昔は本でもマンガでも、ゴミ捨て場に出す行為には、強い抵抗感があったものですが、今ではすっかり鼻歌まじりで捨ててしまえるようになっちまったなあ。成長したんだか、堕落したんだか。

ということで、部屋も綺麗になったことだし、ブック○フで、二宮ひかるの初期作品群(「誘惑」「恋人の条件」「最低!!」「ふたりで朝まで」「初恋」)と、犬上すくねの「恋愛ディストーション」をまとめて購入してきました。元の木阿弥です。いやいや、本棚の整理をしていたら、ついつい「ハネムーンサラダ」を読んでしまい、やっぱり面白かったんで、ここはひとつ、二宮ひかるを全作品読んでしまおうと。

うむ、こういう流れで、二宮ひかるは「ハネサラ」や「ナイーブ」といった作品を描くに至ったのだなあ。面白いなあ。「ふたりで朝まで」の巻末にある作者の後書きで、

あと、次作からは、今までガマンしていた、あーんなことやこーんなことを、やってみようと思ってます。H度が多少、低下するかも(ゴメン)。二宮なんて、もうキライ!――になる人もいれば、ちっとも変っとらんやないか――と言う人もいることでしょう。

と書いてあり、その次回作は、「初恋」に収録されている『エンゲージ』でして、この作品は確かに衝撃作でした。この中篇を描いた後、「ナイーブ」「ハネサラ」といった傑作群が誕生するのだから、まあ大袈裟にいうと、この「エンゲージ」から、二宮ひかる伝説が始まったのだなと。作者の描きたい事と、娯楽作品を求める市場からの需要がこの作品を経て、一本繋がっていったのですな。だから、その後、2002年に出た拾遺短編集(「復讐のように」)の後書きで、

何を描いたらいいのか、何が描けたらうれしいのか、あるいは何を描いたら喜ばれるのか、それともそんなことを考えること自体、マチガッテルのか。最近、わからなくなってきました。

と、いわゆるスランプ状態に、ここ数年陥ってしまってることも、まあなんとなく理解できる。初期の頃のモチベーション、「自分の描きたい事はこんなもんじゃない」、「もっともっと、こういうことが描きたいんだ!」が、「ハネサラ」を描くことで、それを一気に吐き出してしまったと。大変上っ面な見解だと自覚してますが。

二宮ひかるのような、才能にまかせて自分の作品に自分の体験を反映させたい、少しでも自身の爪跡を刻み込みたいと望む漫画家さんは、ある段階まで行けば、限界に達し、おのずと描きたい事が先細りになってしまう。「これって二番煎じなんじゃないかな」「マンガを描く事に意味があるのかな?」と逡巡するようになり、描く行為自体に意義を感じられなくなってしまう。
最近作の「犬姫様」は、アフタヌーン側からの「要請」に、まんま答えただけの駄作だったと思うし、スピリッツのSEX and the COMICシリーズに掲載された「オトシゴロ」も、正直、同じ号に載った柏木ハルコの読切(「教師失格」)の方が面白かった。柏木ハルコはこれくらいの分量で読むと面白いなあ。

・・・と、ここで「二宮ひかるはハネサラで終わった」と断言するのは、馬鹿みたいに簡単な話であるが、ワタシとしては、むしろここからが面白いのであって、自分の中のストックを出し尽くした表現者が、さらに自分の枠をぶち破って、新たな世界を見出してゆくところが、表現者の醍醐味でありまた、その苦悩を共有し、共に苦しんでゆくのが読み手の醍醐味でもあろう。
U2で言えば、「アクトン・・・と書くと、「言うと思った~」とツッコまれそうなので、今回は触れません(笑)

という次第で、二宮ひかるが今後駄作を描き続けたとしても、ワタシは許します。そもそも、傑作なんて、そうそう生まれるものではないのだ。だから、「羊のうた」を描いた冬目景も、駄作を連発したってワタシは許しまっさ!(ただし「イエスタ」と「黒鉄」はちゃんと完結させること!)。「めぞん一刻」を描いた高橋留美子だって、むこう十年、駄作を描き続けたとしても、OK、許しましょう! でも「犬夜叉」は、そろそろお仕舞いにしませんか?

しまった、ペース配分間違えた。犬上すくねのことも書かなきゃ。
恋愛ディストーション」は、昔、貸しマンガ屋さんで読んでたきりだったので、すごい久しぶりに読んでみたのですが、やっぱりこの作品が現在のところ、犬上すくねの最高傑作だなと。4巻のラブホの話など、二宮ひかるなら、どう料理するかなあと思いながら読むと楽しさ倍増です。

二宮ひかると違って、犬上すくねは、現在サンデーGXで「ラバーズ7」を描いて、4コマ雑誌で「ういういdays」を描いて、女性誌で「恋ディス」の続きを描いて・・・と、旺盛に執筆してますが、なんとなく伸び悩んでいるというか、「このままでいいのか!?」と読者的に心配してしまうところがあります、大きなお世話なんですですが(笑)

恋ディス」は、雑誌の休刊のために連載終了という、切ない終わり方をしているので、「あのまま連載が続いていたら、どうなっていたのかなあ」という思いがあるのかもしれない。ほら、プロのスポーツ選手で、「あの時、ケガしてなければなあ」という人って結構いますでしょ? それに近い感じ。2年かけて、あそこまで到達したのに、またゼロからやり直すのかあみたいな。まあ「恋ディス」の続編を見てみて、それから現在の犬上すくねのテンションを推し量ってみるのが正しいのでしょう。というか、いつ出るんですか、続編は?

結論としましては、谷川史子さんのマンガを読み、二宮ひかるの初期作品を読み、「恋ディス」を読み、恋愛マンガはもうたくさんだぁ!というのが、現在のワタシの偽らざる心境です(笑) 他人の恋愛にヤキモキするのは、もう疲れたよ。もっと血湧き肉踊る冒険を、ファンタジーを、バトルを!!



イメージ 1最後に表紙とか。著作権的に大丈夫なのかなあ?という心配があるが、
絶対画像があった方が印象に残りやすいし、本屋に行った時、探しやすいよね。
ちなみに、二宮ひかるのマンガの表紙は、ハズカシすぎて、とても公開
できません(裏表紙もなー)。買う時タイヘンなんだぞー。