賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

思い出のBOOTLEG 第3回「OUTSIDE BROADCAST」

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「In The Beginning Was"Zoo Radio"」と表記があるが、昔そういう企画があったのだろうか。
1992年のアメリカのライヴツアーの音源を、バンドのインタビュー等を挿入して、ラジオっぽく編集してある変則的なブートであるが、音質は極上。もしかしたら、「アクトン・ベイビー」よりも、このブートの方をよく聴いてたかもしれない(笑) それくらい音質もパフォーマンスも素晴らしい。

「アクトン・ベイビー」は、CDとの相性の問題かもしれないが、ワタシにはちょっと音がくぐもっているように思え、サウンド的には今ひとつ気に入らないところがある。楽曲は最高だが。リマスタリング盤が出ることを切望します。

それはともかく、「アクトン・ベイビー」が発売された当初、「この加工しまくった音をライヴで演奏できるの?」という声も上がったそうだが、蓋を開けてみれば、「アクロバット」以外は全てライヴで取り上げられてしまうあたりは、さすが生粋のライヴバンド。

スタジオ盤では、いささか取り澄ました感がある楽曲群が、ライヴとなるや、たちまち生気を取り戻し、“ロック”しだす様を前にすると、「おお、この曲はこういう音楽だったのか」と、覚えず再認識を迫られてしまったり。
ことにボノは、スタジオでのレコーディング作業には窮屈に感じているようだが、大観衆を前にアドリブを交え、生き生きと歌ってるヴォーカルを聴くと、この人は根っからのパフォーマーなのだなあと。多々ますます弁ず!

レコーディングは、言うなれば「見取り図」みたいなもので、ライヴで演奏をこなすことによって、改めて曲に生命を吹き込むことになるのだろう。かつてスティ-ヴ・リリィホワイトは「君達はツアーをやってからレコーディングした方が良いね」と冗談半分に言ったそうだが、彼らが海賊盤に寛容な態度を取っているのも、自分達の真価は、ライヴでこそ発揮されていると考えているからなのかもしれない。

後半からは、「ヨシュア・トゥリー」からの曲、「ブレット・ザ・ブルー・スカイ」「ホエア・ザ・ストリート・ハヴ・ノー・ネーム」「ラニング・トゥ・スタンド・スティル」の3曲も収録されており、いずれもこの頃のU2ならではのサウンドで料理されているのが興味深い。
特にヴァーティゴ・ツアーでも起用されている「ラニング~」は、当時ボノの“注射針”のパフォーマンスが印象的であるが、まさに“ドラッグ・ソング”ともいうべきサイケデリックサウンドで、ほとんど違う曲に聴こえてしまう。ていうか違う曲です、もはや(笑)その点では「ブレット~」も凄いけれど。
「ホエア~」は、途中でボノが「ヘイ・ユー! アイ・リメンバー・ユー!」と叫んでいるけど、これって確か、スクリーンに「ヨシュア・トゥリー」のジャケットが大写しになってる時に言ってるんだよなあ・・・泣ける。自分的に、これまで対立的であった「80年代U2」と「90年代U2」がしっかり手を握り合った瞬間でした。

ラジオ番組形式なので、曲と曲の間にいちいち“しゃべくり”が挿入されている点が、時に煩わしく感じることもあるが、結構面白い。パブリック・エネミーが即興でラップやったりとか、U2のメンバーが放送禁止用語を連発して「ピー」音が入ったりとか・・・(笑)
そんなのが入っているから、収録曲数は正味11曲しかないけど、その音質の良さですべてが償われている、そんなブートです。今聴いてみましたけど、やっぱり良いね!