賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

海外で読まれる少女マンガ

海外で少女マンガが人気、というhotaruさんの記事を読み、驚くと同時にまた非常に納得するものがあった。

驚いたのは、「少女マンガ」という表現形式は、普通のマンガと比べてもマニアックというか、「お約束事」が多いジャンルであるので、そう易々と楽しめないだろうと思っていたからであり、納得したのは、少女マンガは、そういう読みにくさを乗り越えると、目茶苦茶面白いマンガに、たくさん出会えることが出来るためだ。

初心者であるが、少女マンガスキーのワタクシにとっては、いまだ国内では「少女マンガ」に対する評価は、まだまだ低いと思っていたので、このニュースは嬉しいと同時に、「これは負けていられない」という気持ちにもなりました。いやいや、まあまあ(笑)

さて、ちょうど今、夏目房之介という人の「マンガの深読み、大人読み」という本を読んでいたのですが、そこでも海外のマンガ事情についての考察が載っていて(「海の向こうから読むマンガ」)、これも面白かったです。
自分が思っていたよりもはるかに、欧米では日本のマンガ・アニメが浸透しているのだなあと、驚嘆したが、

 ところが、こうした話題は今のところ日本のメディアでは、不確かな情報が興味本位に報じられる程度で、「日本のアニメやマンガが世界を席捲」というアオリ文句に「日本の文化伝統につながるアニメ、マンガの優秀性」という安易な、ほとんど根拠のない文化本質主義がむずびついている。
 そこには、そもそもまともな興味の対象になかなかならないマンガやアニメの、基礎研究の遅れという状況がある。
 マンガ好きや関係者ですら、いやだからこそか、日本の飽和した市場で手いっぱいな感じで、海外のことまでちゃんと考えようとする余裕がないのである。

という夏目房之介の警句にも胸落ちするものがあった。実際、日本のマンガ・アニメの優秀性を説く人達の一部の言質には、鼻持ちならないものがあったりする。お前は単にジャパン・アズ・ナンバーワンが言いたいだけとちゃうんかと。また「マンガやアニメの基礎研究の遅れ」というのも、近頃、実感するようになってきた。ワタシが本当にマンガスキーになったのは、ここ数年のことであるけれど、昔のマンガをよく知りたいと思っても、全然分からないんだなあ、これが。
マンガへの関心が、海外から寄せられてくることによって、そういった基礎研究が深まってくるといいなと思う。同書の242ページには、ドイツで若い女性から、

「日本には、なぜ女性が女性に向けて描く、男性と違う表現のマンガがあるのか。私自身は少女マンガが好きだが、男性と女性はまったく同じ人間だと教えられて育ったので、なぜそんな表現が出てくるのかわからない。文化的背景はなにか」

という質問を受けた話が載っていたが、こういう質問は、すでに少女マンガというジャンルが自明のものとして存在している日本では、まず出ることはないだろう。こういうところから、「少女マンガとはなにか」という古くて新しい問いかけが、面白い方向性から掘り起こされてゆくのではないかと思う。

「マンガとロックは同じ土壌にある」と、以前書いたことがあるが、日本のロックも海外で人気を博するケースが増えてきて、こういった日本のマンガやロックが世界で認められる話を聞くと、なんだかやたら元気になってしまう。ブンブンサテライツ、最近聴くようになったけど、カッコ良いなあ。

自分の中に確固として存在する島国根性を軽くぶっこわしてしまう、そんなマンガやロックが、これから日本に、どんどん出現してくるのではないでしょうか。わくわくするぜ!