賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

思ひ出の曲 第2回「Acrobat」

ライヴヴァージョンのミラクル・ドラッグの好きなところ~。
後半、というか最後の方で聴こえてくる、ヴァイオリンチックな音~。聴いていると、なんだか不思議な高揚感が湧きおこってきます。
この音は誰が出してるのかなあ。ラリーはタイコ叩きまくってるし、エッジもリフをかき鳴らしているし、これは生音じゃないのかな?

ということで、職場でサンディエゴのライヴ音源を上機嫌で聴いていたら、「世界的なロックバンドがこんなに下手でいいの?」と言われて、ヘコんでしまったsighnomeです。こんばんわ。

今回は、アクトン・ベイビーの中で唯一ライヴで演奏されなかったAcrobatについて。
このアルバムが発売された当初、「このアルバムに入ってる曲って、ちゃんと演奏できるの?」と言われてたみたいですが、結局ほとんど全ての曲がライヴで取り上げられたワケでして、やっぱりこのバンドは生粋のライヴ・バンドなのだなあと。Acrobatも、リハーサルで演奏されたことがあり、Acrobat→Zoo Stationという、非常にかっちょいい曲順だったのですが、結局ライヴでは実現しませんでした。
やや曲の構造が単調であったためにライヴ向きではないとされたのでしょうか。歌詞は、はっきりいって最高だと思います。

 Don't believe what you hear, don't believe what you see
 If you just close your eyes you can feel the enemy.

と、のっけから否定的な調子でボノが歌い始め、

 And I'd join the movement
 If there was one I could believe in
 Yeah, I'd break bread and wine
 If there was a church I could receive in.

のような、「Crumbs From Your Table」へと受け継がれる辛らつな歌詞や、

 And I must be an acrobat
 To talk like this and act like that.

のような自己言及的な部分まで、ヒップホップとまではいかないけれど、歌うというよりはほとんど強迫症のような口ぶりで語りかけてくるヴォーカルと、畳み掛けてくるドラムによって、聴いていると圧迫感で胸が苦しくなってきます。それが、

 What are we going to do now it's all been said?
 No new ideas in the house, and every book's been read.

の部分で最高潮となり、その直後、エッジのヴェルベット・ギターが炸裂し、圧迫感が破裂し拡散されてゆきます。このカタルシスがすごくいいです。その後再びボノのラップが始まり、否定的な調子で始まったこの曲も、いつも通りの肯定的ソングであることが判明します。

 You can stash and you can seize
 In dreams begin responsibilities
 And I can love, and I can love
 And I know that the tide is turning 'round

ワタシの持っているブートレグには、この曲のデモ・ヴァージョンが収録されており、そちらは正規ヴァージョンに比べ、非常にアグレッシヴに演奏されています。
う~ん、この曲もライヴで演奏して欲しかったです。