賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

U2のことアレコレ

なかなかU2関連の記事が書けなかったため、ずっと、「全選手入場!」ネタの記事がトップに表示され続けて、なんだかとっても恥ずかしかった賽の目です、こんばんわ。

ということで、今回こそはU2のことをたくさん書くぞい。


その1 IMSのこと
いつだったかも、話題にしたことがありましたが、とりあえずiTunes Music Storeから、ミュージックビデオ(COBLとABOYとOOTSとSYCMIOYOの4曲)をダウンロードしました。まず、ABOYなんですが、この映像を観ると、つくづくニューヨークの人たちに愛されちゃってるなあって思います。酔月亭さん記事には、「それに、9.11が起こって、U2がNYをサポートしてからは、すごく愛情を感じるようになった」と書いてありますが、その通りですな。と言いますか、駆け出しのバンドじゃあるまいし、シークレットでの路上ライヴを平然とぶちカマすU2がステキ過ぎますよ。

SYCMIOYOは、冒頭をアカペラで歌うボノさんが良かったです。途中からヘンなエコーがかかって、アレレな感じでしたが(笑)、こうして聴くと、ボノさんの「声」は、やはり物凄くインパクトがあるなあと。そういえば、ベストDVDのおまけに付いていた、Electrical Stormのメイキング映像で、ほんの少しですがボノさんがアカペラで歌ってるところがあり、それも印象的でした。ギリギリの高音で歌うボノさんもステキですが、中音域でたっぷり喉を響かせて歌う時のボノさんは、はっきりいって無敵です(笑)

OOTSは、歌詞の部分がスタジオ・ヴァージョンのと少し違ってて、慌ててU2.comのlyricsで参照してみましたが、ええと、そもそもスタジオ・ヴァージョン自体、この歌詞通りに歌ってないんですね、ボノさんは(笑)
そして、“Some things you shouldn’t get too good at Like smiling, crying and celebrity”の一節を歌う時、ボノさんが自分の頭を指差すアクションが面白かったです。「あ、それオレか?」みたいな(笑)

そして、酔月亭さんの記事にありました、OOTSの新PVですが、これは冒頭のピアノがなにやら玄妙な響きに加工されていて印象的でした。なんだか和風なカンジ。U2の曲を聴いて「和」を感じたのは、これが初めてです(笑)
それがとっても良かったんですが、そのサウンドが気に入った分、途中から始まるオーケストラの音が、なんだか大袈裟に聴こえてしまうのが残念。
いっそのこと、オーケストラの部分はカットして、シンセサイザーなどで、より繊細なサウンドに仕上げれば良いのにとか思ってしまいました。まあそうなると、もはやリミックスになってしまうのですが(笑)

最後にCOBLですが、これは是非生で観たいなあと。無茶苦茶綺麗だろうなあ。早く日程を発表してくださいよ~。


その2 HTDAABのこと
このアルバムにはいい曲を集められたと思う。弱い曲はひとつもない。でもアルバムとして見た時に、全体が部分を超えていないんだ。ほんとに悩ましいことなんだけど。

酔月亭さんの記事(BONO on the RECORDS #5)にあったボノさんのコメントなのですが、上記のボノさんの言葉を目にして、いくつか、HTDAABというアルバムについて思ったことを少々。

まず、U2というバンドは、その本質として「ライヴ」と「アルバム」を主眼とするバンドだと思うのですが、90年代中頃から、バンドの志向が、従来の「良いアルバムを作ること」に加え、「良いシングルを出すこと」をも視野に置くようになったことを挙げてみたいです。最近のインタビューでも、

クラッシュは凄いシングル曲を出した、セックス・ピストルズも、ビートルズも、ストーンズも、そうニルヴァーナも、我々のヒーローはみんな、凄いシングル曲を出してきた。僕らがやりたいのもそれだ。この時代にもふさわしい。ロック・ミュージックが現代文化の中で力を失ってしまったのは、偉大なシングル曲不足のせいじゃないかな。

と、コメントしています。まさにその「偉大なシングルを出したい」という努力が、「Vertigo」等の名曲を生んだと思うのですが、結果として、そのシングル志向が、80年代のアルバムには存在した、アルバム全体の雰囲気をひとつに収斂させていくような、そんな吸引力を、いささか損ねてしまったのかな、と。確か、前作のATYCLBに関しても、ボノさんは、「全体が部分を超えてない」みたいなことを話してたと思います。うろ覚えなんですが。

加えて、レコーディング時の、ボノさんの長期不在(アメリカでのロビー活動のため)も影響してるのかな、と思いました。「ボノ、エッジ、アダム、ラリー。この4人が集まると、なにかが起こる」と、多くの関係者が口を揃えて証言していますが、そういうケミストリーが今回、欠乏気味だったのかもしれません。異例の長期間のレコーディング、プロデューサー業から引退していた筈のスティーヴ・リリィホワイトを引っ張り出すほど難航していた理由はそれなのかも。そういえばPOPの時も、ラリーが腰を故障して、レコーディングの初期は参加できなかったんですよね。その悪影響は確実にあったんじゃなかいかと、今にして勘繰っております(笑)

さらに、これはワタシだけかもしれませんが、このアルバムのイメージと、「『How To Dismantle An Atomic Bomb』というタイトルと、ジャケットの表紙が、いまだにイマイチ上手く結びつかなかったりします。だって、「原子爆弾の解体方法」ですよ? どうイメージしろと?(笑) Love And Peace Or Elseが、かろうじてイメージの範疇内に収まるかなあ。
前作のATYCLBに関しては、あの空港のジャケットと、「君が忘れ去ってはいけない物すべて」というタイトルと、収録されている曲のイメージが調和していたのですが、今回はそれがバラバラなんですよ。「赤と黒」という色彩が、ワタシにとって唯一の共通イメージですね。最新作のジャケットU2史上、もっともなおざりなジャケットなのではないかしらん(笑)

以上のような理由が、今回のアルバム、How To Dismantle An Atomic Bombが、『全体が部分を超えていない』要因なのではないかと、ワタシは思うのですが、それでもワタシにとって、HTDAABは、「U2で一番好きなアルバムは?」と聞かれたら、「『How To Dismantle An Atomic Bomb』です」と即答してしまうくらい、とてもとてもとても大事なアルバムです。このアルバムは、ワタシのために作られたんじゃないのかって、時々思いますね、ええ(笑) 『無人島に持っていく1枚のアルバム』は、これに決定ですよ(笑)


その3 ある言葉
原理主義同士の対立。理想よりも実利を巡ってのアメリカ大統領選。 
誰もが自らの信仰と思想の名において、どちらかの側につこうとする時にも、 
U2だけは誰の味方でもなく、誰の敵でもなかった。 
ブッシュを非難するのではなく、資本主義とテクノロジーを忌み嫌うのではなく、その膿に口づけた。 
ガレージ・リヴァイヴァルにちゃっかり乗っかり、ヒップホップからさらに盗んだ。 
風見鶏、日和主義という非難を引き受け、すべての憎悪と虚無と無知を抱きしめた。 
おかげで、右の頬も左の頬も腫れ上がってはいたが、瞳の光は涼しげだった。 
死の匂いが立ちこめ、眩暈がするような場所でも、ロザリオは光を失わなかった。 
聖書とコーランを破り捨て、古き時代の神にすべてを捧げ、悪魔にさえ仕えた。 
U2だけが、愛の名において与え続けた。

2chのU2スレにあったんですが、いい言葉だなと。少々表現が過剰気味ですが(笑)
スヌーザーあたりに載ってそうな文句ですけど、むしろこれくらい大仰な方が、
U2というバンドをよく表現し得るのかなと思ったり。


うむ、今日はいっぱい書いたぞ、満足満足!(笑)