賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

マンガ購入記録(8月分) 後編

「後編です、今度こそ、これでケリをつけます」
「いや、正直ムリだと思う」
「任せろって。すぱすぱ斬って落としてやるぜ」
「絶対ムリだと思うけど、とりあえず続けるか。かわくぼ香織の『かっちぇる』(6巻・完結)」
「げ。めちゃめちゃ語りてえ~」
「我慢しろ」
「これはね。すごい良かった。この作品に出会えて良かったなあって、読み終わった後思ったよ」
「そんなに良かったのか」
「いや、作品の出来そのものは、大したことないんだけどね」
お~い

「どこが良いのかって言われると、言葉に詰まるんだけど、とりあえずヒロインの杉山礼子が良かったな。実に鬱陶しいキャラなんですよ」
「それのどこが良いんだよ」
「だから、スポーツマンガのヒロインとして、画期的に鬱陶しいんだよ。その鬱陶しい性格を抱えたまま、のたのたとバレーに取り組んでゆく姿が、もうたまりませんわ~」
「よく分からん」
「このヒロインだけじゃなくって、周りのキャラも、それぞれ鬱陶しい部分を抱えてて、それでお互い気まずくなったり、時にはケンカしたりして、それでも3年間、いや2年間か、バレーを続けてゆくわけだよ。リアルってワケじゃ、無論ないんだけど、このマンガに出てきた面々とは、『ああ、色んなコトがあったけど、よくもこれまで付き合ってきたもんだなあ』みたいな感慨が、めっさ湧いてくるんすわー」
「そういうもんか」
「そんなもんす」

「よし、じゃあ次な。施川ユウキサナギさん』(1巻)」
「ああ、これはmuzokenさんが紹介してたんで、とりあえず買ってみたんだよ」
「というか、お前、毎週、週チャンを立ち読みしてるんだろう?」
「すまん、今まで全然、このマンガのこと知らなかった。『さんごくし』が痛々しくって読めないから、その次に載ってる『サナギさん』にまで目が届かなかったんだよ」
「週チャントピのトピ主様にあやまるべきだな」
ごめんなさい
「で、面白かったか?」
「面白かったといえば、面白かったが、なんかダマされてるような面白さだった」
「なんだそりゃ」
「『あずまんが大王』を初めて読んだ時と似てるなあ。アレも最初読んだ時は、ダマされてるように感じたよ。あはははは、って笑った後、あれオレ、ダマされてる?みたいな」
「褒めてるのか、褒めてないのか、分からない物言いだな」
「面白かったけど、愛読するには時間がかかりそうってことさ」

「なるほどそうか、じゃあ次」
「鬼のように仕切るな」
「なんかいけそうな気がしてきたからな。石田敦子アニメがお仕事』(3巻)」
「これはやっぱりアレだな。宇河弘樹、許すまじ!ってヤツだな」
「なんでだよ」
「この巻頭の話は、リアルタイムで読めなかったんだよ。アワーズ買わなかったから。『朝霧の巫女』のアレに腹が立って。イチ乃と志村にフラグが立ってたり、結構重要な回だったんじゃないか。まったく宇河のやつぁ」
「フラグって言うな」

「『ヘルシング』は、あっさり○○○○○○○が死んじゃってるし、『ナポレオン』は、ツーロンが陥落しちゃってるし、いっそ戮奉って、山城に籠ろうかと思っちゃったよ」
「アホか。まあ電車でこの回を読んで、エラい目に遭った人もいたようだがな」
「巻頭のカラーでやるあたり、確信犯だよな。それでこそ石田敦子
「いよいよ『アニメがお仕事』も3巻だな」
林家志弦と同じく、未知のゾーンに突入だよ。連載前は2巻までのプロットを決めていて、それからまた、それ以降のプロットを仕上げたって、2巻の巻末に描いてあったけど、こっから石田敦子の底力が見れそうで、楽しみだな。できれば、この作品に集中して、あんまり読切には手を出さないで欲しいなあ、って気持ちがあるな」
「読切っていうか、新連載だろ?」
「大丈夫かなあ。まあオレは信じてるけどな!」

「次行くか。吉本蜂矢デビューマン』(2巻・完結)」
「7年ぶりの続刊ですよ。アワーズでこの告知を見た時は、我が目を疑ったよ。世の中捨てたもんじゃないな」
「なんで今まで出さなかったんだろう」
「さあな。『だって自分で印刷機回すわけじゃないじゃん☆』ってあとがきに書いてあったけど」
「その言をたぐると、出したくても出せなかったと解釈できるな」
「まあ、その後の文で、『ちょっとタイミングを逃したらふるい原稿が嫌で嫌でしょーがなかった』とも書いてあるけどな」
「その言をたぐると、吉本蜂矢が出したがらなかったと解釈できるな」

「まあ、とにかく続きが読めて良かったよ。さすがに後半になるほど、パワーが落ちてきてるけど、やっぱり面白かったよ。この人の作風が、マンガ界に与えた影響って、うすた京介に匹敵すると思うんだけど、これで再評価の動きが出るといいな」
「そんなに影響力があったのか」
「あるだろう。大暮維人とか ゴツボ×リュウジとか、みんなパクリに見えるもん」
「そこで、パクリという言葉は禁句ですよ、先生」
「そうだな、オーツカ ・・・
「その話もやめろ、紛糾するから」
「そうか、残念だな。じゃあ次行くか」

太田虎一郎宇宙の法則 世界の基本 先手オレ編』」
「まだ"萌え"という言葉が普及する前から、“ドキドキ対決"とかで、萌えを追及してた、とってもエラい本なんだけど、まあ別に読まなくてもいいです
「やけに消極的だな」
林家志弦の『ウルトラソード』と同じく、コアマ○ジンから出てるしな。分かるヤツだけ読めばいい、っていうか分かるヤツはみんな読んでますから。古賀亮一の『ゲノム』みたいなもんだ」

「そうですか。じゃあ次。あずまきよひこよつばと!』(4巻)」
「こういう作品は、感想書けったって、『面白かった』としか、言いようがないんだよな」
「面白かったのか」
「面白かったです。突然4コマやったり、休載があったり、作者も思い悩むところがあるんじゃないかと思うが、夏休みが終わるまで描き切って欲しいな」
「ていうか、夏休みが終わっても、続くんじゃないか?
「それは困るな。オレ的には、夏休みが終わったら、よつばがどっかいっちゃって、春になったらまた戻ってくることに決まってるから」
「なんで、お前の妄想に付き合わなきゃいけないんだ?」
「『よつばが戻ってくる!』って、とーちゃんが布団の中で歓喜に震えてるページで終わるんだよ」

「元ネタを指摘するのもメンドイから、ツッコまないぞ。ていうか分かりにくいよ、ソレ。次、三部けいカミヤドリ』(4巻)」
「待望の過去編だな。人間関係のあれこれが、大分明確になったよ。それに、今までで一番良かった巻だったと思うよ。それこそ『テスタロト』の2巻くらい(“ガリンシャの懺悔”)。次巻でいよいよ巻数が、その『テスタロト』の4巻を超えるし、このまま突っ走って欲しいよな」
「『テスタロト』は、可哀想だったな」
「オレのマンガ歴の中でも五本の指に入るくらい悲惨な打ち切られ方だったからな。あれは化けてでるぞ」
「化けるのかよ」
「死んでも死に切れないだろう。この『カミヤドリ』で、成仏してくれるといいんだけどね」

「次行くか。森小太郎ストレイ・リトル・デビル』(2巻)」
悪魔っ娘に萌えるマンガです。以上」
「それでいいのか」
「いいんだ、オレもちょっと、後悔してる」

「じゃあ次、森薫エマ』(6巻)」
「急展開だったな。すっっげ~~続きが読みたいんだけど、今からビームを読んでも、手遅れだよな」
「当たり前だろう」
「カタストロフ一歩手前まで来て、以下次巻ですよ。どうするよ、この手さばきは」
「ビームも単行本買ってる作品が多いんだけどね。みんな単行本でまとめて読んだ方が絶対面白そうな作品ばっかだからな」
「しかし、『エマ』って、アニメ化されてるのな。笑っちゃうよな」
「笑うのは失礼だろう」
「もう、志村貴子の『放浪息子』がアニメになっても不思議じゃないよな」
「いや、それは不思議だろう
「大分絵の描き方は変わったよな。そんなでもないか? 写実性が強くなったような印象があるな」
「1巻が出たのが3年前だからな」
「この作品が連載デビュー作なんだろう。まだまだ発展途上の人なんじゃないか。後世畏るべしのマンガ家さんだよ」

「次は、今市子さんの『楽園まであともうちょっと』(3巻・完結)か」
「ちょっと尻すぼみ感があったけど、面白かったです。とりあえず菊池社長が幸せそうで良かったな」
「あれ、幸せなのか」
「幸せだろう。ああいう、なにかと貧乏くじを引きやすいキャラは、幸せになってもらいたいよな」
今市子の現代モノでは、たいがい登場してくるな、ああいうタイプは」
「これは個人的な見解だけど、今市子作品って、『岸辺の唄』のような“物語”に力を入れてるタイプの作品と、『楽園まであともうちょっと』みたいな“人物”に力を入れているタイプに分類できそうな気がする。オレは圧倒的に“物語”タイプの今市子作品が好きなんだけど、登場人物がみんながみんな、どっかネジが1本外れてて、突発的に素っ頓狂な会話が炸裂する後者のタイプの作品も好きなんだよ」
「意識して分けてるワケじゃないよな」
「そうだな。シリアスとコメディという意識はあるかもしれないけど」

「じゃあ菊池社長、お幸せにということで、ラスト。平本アキラ俺と悪魔のブルーズ』(2巻)」
「面白いよな。編集者側も相当力入れてるんじゃないか。装丁とか、かなり凝ってるよ」
価格が666円というのは、凝りすぎだと思ったけどな
「悪魔の数字だからな。しかし全然ギターを弾かなくなっちゃったな、RJ」
「これからリンチにかけられるって時に演奏できるかよ」
「個人的にはブルーズマンとしてのお話をもっと読みたいんだけど、今の方向性も面白いよな」
「これから、どう展開していくのか、皆目分からん」
「とりあえず、早いとこRJの指を元に戻して欲しいです」


「よし、これで終わりだ」
「凄いな、終わっちゃったよ」
「やればできるってことだな。9月分も、またこれで行くか?」
「・・・本気で言ってる?」
「冗談だよ」
「だよな。ここまで読んでくだすった皆様(いないと思うけど)、どうもお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」



8月に購入したマンガ
岩館真理子「月と雲の間」全1巻
ISUTOSHI「愛気」1巻
モンキー・パンチ千夜一夜物語」1巻
清水玲子「月の子」全8巻(文)
坂田靖子「バジル氏の優雅な生活」全5巻
萩尾望都「マージナル」全5巻
井上元伸「桃魂ユーマ」1巻
桐原いづみひとひら」1巻
なるしまゆり「仔鹿狩り」全1巻
かわくぼ香織「かっちぇる」6巻(完)
施川ユウキサナギさん」1巻
石田敦子アニメがお仕事」3巻
吉本蜂矢「デビューマン」2巻(完)
太田虎一郎「宇宙の法則 世界の基本 先手オレ編」
あずまきよひこよつばと!」4巻
三部けいカミヤドリ」4巻
森小太郎「ストレイ・リトル・デビル」2巻
森薫「エマ」