賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

マンガ購入記録(8月分) 前編

「早速、8月に購入したマンガについて語りたいんだけど」
「また対談形式かよ!」
「なんつうか、もう文章を考えるのが面倒くさいんだよ。だから話し口調ならカンタンなんじゃないかなって」
「それ、仮にもブログを立ててる人間の言うセリフじゃないぞ
「だって、8月に買ったマンガって、36冊あるんだぜ。とても全部語りきれないよ」
「そんな、ムリに語らなくてもいいだろ」
「いや、それが長年、某所でマンガの感想を書いていた後遺症で、なんかしらコメントを残さないと気の済まない体質になっちゃったんだよ」
「病気みたいな言い方するな」
「気にすんなって。じゃあ張り切って、いってみよー!」
「・・・・・・」

「まずは、岩館真理子さんの『月と雲の間』(全1巻)な。面白かったんだけど、これはやっぱり青年誌で連載してただけあって、いささか分かりやす過ぎるんだな。男性向けの雑誌で連載してるんだから、分かりやすく描かなくっちゃみたいな意識が、なんとなく感じられるから、こちらとしては「なさけむよう!」って思っちゃうんだよ。もっと情け容赦なく描いた作品を読みたくなったね」
「そうか、それは良かったな」
「もっと親身になって答えてください」
「まだまだ先は長いんだから、そのうちな」

「とにかく、もっと女性誌で連載してた作品を読みたいと思ったわけさ。で、次がISUTOSHI の『愛気』(1巻)。アフタヌーンでやってた『てんでフリーズ』が面白かったんで、こっちも読んだんだけど、う~ん・・・」
「面白くなかったのか」
「いや、面白かったんだけど、この人なら、もっと面白く描けるんじゃないかなって。予想してた面白さを少し下回ってたってカンジかな。この題材なら、もっともっと面白く描けるよ、きっと」
「2巻以降をお楽しみにってことか」

「そうそう。それから次はモンキー・パンチの『千夜一夜物語』(1巻)。モンキー・パンチの作品って、『ルパン三世』しか読んでなかったから、新鮮だったな。千夜一夜物語って、オレ、全然知らないから、そういう意味でも楽しく読めたよ」
「無知で良かったな」
「調子出てきたじゃないか。シェラザートが王の嫁として赴くところで終わってるんだけど、早く続きが読みたいです。で、次は清水玲子の『月の子』(全8巻・文庫)。いよいよオレも、花とゆめコミックスを解禁しようと思って、まずはこれを読んでみたんだ」
「解禁って、お前、桑田乃梨子遠藤淑子も読んでるじゃないか」
「それは、二人とも王道から外れてるじゃないか。今はお二人とも男性誌の方にシフトしてるし。王道的な花とゆめ作品を読んでみようってことよ」
「お前、そんなコト言うと、桑田乃梨子遠藤淑子も王道じゃないのかって、ファンの人に刺されるぞ」
「実際、桑田乃梨子遠藤淑子って、花とゆめにいた頃は、どんなポジションだったんだろうな。ジャンプで言えば、荒木飛呂彦的位置だったのかな?
「それは、違うだろう」

「まあ、鳥山明高橋陽一的ポジションじゃなかったことは確かだと思うんだ。それはともかく、『月の子』なんだけど、これは凄いね、笑っちゃったね」
「笑うのか」
「だって凄いんだぜ。舞台はニューヨーク。主人公はダンサーで、男の子と一緒に暮らすんですよ」
「なにが笑えるんだか、全然分かんないんだけど」
「要するに、オレがイメージしてた“少女マンガ”の要素がてんこ盛りになってるんだよ、“ニューヨーク”だろ、“バレエ”だろ、“双子”だろ(正確には三つ子だけど)、“大富豪の金髪の美青年”だろ、“世界の滅亡”だろ、“同性愛的描写”に、“母性への憎悪”。その反面の“純粋な少年性への憧憬”ときたもんだ。笑っちゃうだろ。もうこれからは、『少女マンガの特質ってなんですか?』って訊かれたら、迷わずこの『月の子』を渡すことにするよ
「で、お前は面白いと思ったのか」
「面白かった。けど、ものすごく面白いとは思わなかった。なんとなく、清水玲子って、少年マンガでいえば、藤田和日郎みたいな人なのかなって、ネットとかで見聞きしてて思ってたんだけど、そうじゃなかったな」

藤田和日郎って、熱血系だと思ってたのか」
「うん。熱血系というか感動系というか。思ってたよりずっと、冷たい作風だったな」
「冷たいって言い方はあんまりだと思うぞ」
「うんうん。クールというか、あえて思いっきり悪く言うと、“平板”っていうか、深みが感じられなかった。もっとこう、心の深部をえぐり出すような作品を描く人なのかと思ってたんだよ。絵は綺麗だったけど」
萩尾望都が8巻の解説で絶賛してたな」
「でも、あれは褒めすぎだと思ったなあ。彼女の絵は線の音楽だ。その曲線のものがたる、かたちのひそやかさ。美しさ。やらわかさ。ため息がでる。そうかなあ?」
「まあ、お前の審美感なんて、たかが知れてるからな、気にするな」

「こういう絵は、確かにニガテかもしれない。でも、このキャラはいいな。アルテム・ザイコフ。これはいいですよ、僕は惚れましたよ」
「キミキミ。この人はオトコですよ?」
「大丈夫。オレルールでは、“二次元での性別による判断は無意味!”だから」
「お前、バカだろう?」
「ていうか、こんなツラしてオトコって、そりゃないだろう。どこの世界に、こんな美人なオトコがおるか」
「いや、北欧系には、この種の美形はゴロゴロしているぞ。昔スターリンの伝記を読んだ時・・・」
「待て、なんでお前、そんな伝記読んでるんだよ」
「昔、独裁者ってのに興味があったんだよ。で、その伝記にスターリンの若い頃の写真があったんだけど、これがすげえ美形なんだよ。まさに“マンガみたい”って形容したいくらい。少女マンガに出てくる美形キャラって、アホみたいに顔が整ってて、そんなヤツいねえよって、ずっと思ってたんだけど、違うね。あれは実はリアルに描写してたんだよ。美形って実在するのな
「なんでお前がアツく語るんだよ」

「いやすまん。ちょっとキャラを間違えたな」
「まあお互い脳内キャラだからな。なるべくキャラ立てして、読んでる人に分かりやすく認識してもらおうぜ」
「というか、ここまで、ちゃんと読んでる人っているのか?」
いないな
「さすがにみんな、呆れてるだろうな」
「いいんだよ。そろそろ賽の目の本性を暴露してやろうぜ」
黒髪ショートカットの女の子に弱いとかな」
「正直に言う、弓長九天の『さゆリン』は、表紙見て買うことに決めた。」
「それは、恥ずかしいな」
「さらにぶっちゃけると、しげまつ貴子の『天使じゃない』は、ひとえにヒロイン萌えで購入してます」
「あの、それは、ぶっちゃけすぎじゃないでしょうか?」
「気にすんなって。今さら恐れるものなんてないよ。さて文字数もそろそろヤバそうだし、ここでいったん終わるか」