賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

明日は「さくらDISCORD」(増田英二)1巻の発売日です

イメージ 1
 
興奮し過ぎてオシッコがもれそうです!
 
トイレに行って来ーい!
ということで、新年早々興奮気味の賽の目です。わほ~い!
絶対に赤字を出さない方針の秋田書店においては、実績のないマンガ家さんの単行本は、他社に比べ極端に出版部数を制限していますので、この1巻も入手するのは至難の業かとも思われますが、だがしかしこれは買っとけ。絶対面白いってばよ!
 
とは言え、やはり人には好みというものがございまして、自分が面白いから他人も面白く思うだろうというのは、いささか短慮というもの。ここは、自分の好みのマンガを取り上げて、「こういうマンガが好きな人は、きっと「さくらDISCORD」も気に入ってくれるよ!」作戦を敢行してみようかと思います。賽の目にしてはよく考えた!
 
 
 
 
 
 
イメージ 2

その1:「敷居の住人」(志村貴子

放浪息子」のアニメ化などで、すっかり知名度を上げた感のある志村貴子さんですが、やはり出世作であるこの作品は思い入れがございます。
特筆すべきは主人公のみっともなさ。片思いの女の子がいるんですが、その子は主人公の友達が好きで、その友達も主人公が片思いしてることを知っていながら付き合ったりするとか、なんというか自意識過剰な年頃の男の子の自尊心がズタボロになる出来事が慢性的に繰り返されるお話なんですよ。これはシンドイ。
そんなみっともない主人公に共感を覚える方は是非「さくらDISCORD」を読んで身をよじっていただきたいと願う次第。いや、島君というキャラクターがいてですね(ネタバレになるため以下略)。
 
 
 
 
 
イメージ 3

その2:「少年魔法士」(なるしまゆり

言い回しのセンスというか感性の面で、なるしまゆりさんと増田英二さんは近いところにある。はい、かなり強引です(笑)
恥知らずのロマンチスト」とでもいうのでしょうか。どんなにこっ恥ずかしいセリフでも、なんの躊躇いもなく言ってのける、そこにシビれるッ、憧れるゥ!
現在までのところ、「さくらDISCORD」の中で最高にポエムってるセリフはこれだと思います。
 
 
何?「俺たちの友情は本物だ」とか、反吐が出るようなこと言わないでよ?

「俺たちの友情は本物だ」。どうだ? 反吐は出そうか?
 
 
くう~、こーちゃんカッケエ~! あ、こーちゃんというのは左の男の子で、主人公です。
右の怖い顔してる女の子は住吉さんというのですが、今はこんなですけど、本当は優しい子なんです。明日になったら続きが読めますよ、わーい。
このシーンのインパクトが強すぎて、2chのさくらスレでは住吉さんが一時期反吐キャラになっちゃったりもしてましたが、それぐらい名シーンだったということですね。
これが「少年魔法士」ですと、「俺たちは友達だ、半端じゃなく」となるワケですが、こういうのっぴきならないセリフを臆面もなく言えてこそ、読者の心に響く作品が出来上がってゆくのですねえ。
少年魔法士」に関しては色々言いたいことがあるのですが、とりあえずこういうクサい台詞が好きな人は「さくらDISCORD」も読んでみてはいかがでしょうか。
 
 
 
 
 
イメージ 7

その3:「ひとひら桐原いづみ

「友情」というと、この作品は外せない。ヒロインの麦さんと佳代ちゃんとの友情には泣かされました。
その絵柄に似合わぬ毒っ気とか、隠しようもないマンガに対する愛情とか、作風が結構似てるんじゃないかと。
 
だいたい半年に一回程度の割合で、漫画が大好きでたまらなくて、描くことの喜びに打ち震える事があります。 そんな時は「私はこの為に生れてきたんだ…!」と思えるほど気持ちいいです。
 
以前書いた「桐原いづみ祭り」の記事での引用を改めてしちゃいますが、こういうのを読むとマンガ家になるべくしてなった人なんだなあと改めて思います、羨ましい。この喜びは恐らく、自分の感情を表現できたことの喜びなんじゃないかと思います。ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND(どうしても打ち捨ててはおけないもの)を救い上げること。国学風にいうと「物のあはれ」を歌という形にできた喜びというのでしょうか。まっこと羨ましい限りです。ちなみに友情の歌というと、高杉晋作のこの歌を思い出す。脱線失礼。
 
 
後れても後れてもまた君たちに 誓ひしことをわれ忘れめや
 
 
 
 
 
 
イメージ 4

その4:「ふわふわカタログ」(石田敦子

代表作ということで、とりあえずこの作品を。
ええまあ、本当に石田敦子さんのマンガには情緒的な方面で鍛えさせられまくったのですが、いや本当に感謝しております(多少恨みはありますが(笑))。ココロの痛みをどう乗り越えてゆくのか、実に色々と教わりましたよ。
そういうココロに痛くて立てないような怪我を負った人間が、それでも立ち上がろうとする物語が好きな人は、「さくらDISCRD」はオススメです。
 
 
 
 
イメージ 5

その5:「花やか梅ちゃん」(師走冬子

 異論反論は山のようにあるかと存じますが、全作品を読んだ上で、この人の最高傑作はこの作品だと思ってます。
 
花屋すずらんの超元気なお花大好き看板娘・春巻 梅ちゃんと、花屋でバイトするクズサラリーマン・桐山勇悟との心温まるラヴコメディ4コマ!母親の超天然系おっとり桜さんやしっかり者の守銭奴小学生・桃ちゃんに囲まれて今日もすずらんは賑やか開店中です!!
 
 
と、アマゾンのレビューにありますが、どうしてどうしてなかなか奥が深い作品です。
師走冬子さんの作品に出てくるキャラクターはみんな元気一杯で明るいのですが、その根底にある種の哀調が隠されていることは、ファンの人はみんな感じていると思う。
この「花やか梅ちゃん」では、これまで決して表立っては出てこなかった哀調が、初めて作品から立ち現われてきた、記念碑的作品とも言えましょう。
梅ちゃんの笑顔に、胸が締めつけられるような感情を覚えた人は、是非とも「さくらDISCRD」をお読みになって、ノ宮さんの笑顔に苦しい思いを抱いていただきたいなと(笑)
 
 
 
 
 
 
イメージ 6

その6:「アオハルッ!」(みもり)

この作品はちょっと例外的で、これまで取り上げた作品は、マンガ好きな人にはメジャーなものばかりなのですが、さすがにこれは、あまり知られてないような気がします、多分。
つまり、「さくらDISCRD」が好きな人は、この「アオハルッ!」もあわせて読んで欲しいなと。ええ逆宣伝です(笑)
月刊プリンセス秋田書店)という、まぎれもない少女漫画雑誌で連載されていた、まごうことなく少女マンガなのですが、テイストはかなり似ているのではないかと。まあ「さくらDISCORD」はかなり少女マンガチックな作品だと個人的に思ってます。
それはともかく、住吉さんがお好きな方には、特に森ノ宮新菜というキャラクターを推薦致します。見事なまでのツンデレっぷりは、住吉さんに勝るとも劣りません。
男女6人が、色々すったもんだを繰り返しつつ、入制(入学制作)に取り組むという、この辺りも「さくらDISCORD」と似ているのですが、登場人物が中学生だけあって、高校生の「さくら」たちよりは、ずっと可愛げがあります(笑)
「さくらDISCORD」の少女マンガ版として読んでみるのはいかがでしょうか。ちなみに作者のみもりさんは、アオハルというマンガ雑誌でもマンガを描いてたりします。まぎわらしいわ~。
 
 

 
とまあ、こんなカンジで紹介してみましたが、どうなんだろう、なんか逆効果な気が・・・
いやいや大丈夫、みんな買ってくれるさっ、と無理やり安心することにして、本当に「さくらDISCORD」は良い作品だと思いますので、売れて欲しいなあと思います。
世の中には「薄倖キャラ」というものがございまして、そういうキャラクターにどうしようもなく惹きつけられてしまう人が存在するのですが(わしじゃ、わしじゃ)、そういう方にヒロインの桜ノ宮さくらさんの醸し出す不幸オーラを堪能していただけたら嬉しいなと(笑)
 
以前書いた記事で、薄倖キャラを冗談半分で取り上げたことがあるのですが、ああいうキャラクターを造形する場合、やはり作者自身の内面も、否応なく投影されてしまうものであり、作者の力量というものがおのずから現れてくるものだと思います。その作者が本物かどうかというのが、丸分かりになってしまう、恐ろしいキャラクターです(笑)
 
だからこそ、読者も作者と真正面から立ち向かって読まなければならなくなり、それがなんというか「マンガを読んだなあ」と言いますか、言い知れぬ満足感を読後に味わえることになります。自分がマンガを読む理由はそれに尽きるなあ。
「面白さ」絶対主義を掲げるマンガの異様なコレジャナイ感の正体は、こいつであろう。「吼えろペン」(島本和彦)でいうところの「ただ面白いだけよ!!」ってやつですな。ふと思ったが、自分は島本和彦原理主義者かもしれない。面白いだけじゃダメなんですよ。どうだ? 反吐は出そうか?
 
「ナイス」ってのは実にいやな言葉だ。エレベーターとかスーパーマーケット用の音楽だね。買い物したり、上がったり下がったりする分にはいいかもしれないけど、それ以上のものがほしいよ。間違ってるかい? 音楽にそれ以上を求めるのは間違ってるかい?
 
アイルランドのロックバンドのヴォーカルの人の言葉ですが、勿論、ボノさんは間違ってないと信じてます。ワタシも同感です、そしてそれはマンガにも当てはまることだと思います。俺たちは音楽に、マンガに、それ以上のものが欲しいんですよ。「さくらDISCORDはそれ以上のマンガだ」。どうだ?反吐は出そうか?(もうええって)
 
などと、完全に趣旨が違ってる文章を書き連ねてしまいましたが、それだけ「さくらDISCORD」の単行本発売にテンションが上がってるということで、カンベンしてください(笑)