賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

思い出す

今、「ゲイン」(なかいま強)を読んでいます。

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いやなんかこの前、久しぶりに週刊少年サンデーを読んでみたら、サンデーコミックスを無暗に読みたくなって・・・。勢い余って、「はじめてのあく」(藤木俊)まで買ってしまったのはご愛敬。いやあ、こういうノリは大好物だなあ。なごむぜ!

「ゲイン」は、連載当時は「うっちゃれ五所瓦」に比べると、そんなに面白くないかな、とか思ってましたが、今現在読み返してみると、とても面白いですね。申し訳ない。
主人公の夏井球生が非常にはっちゃけたキャラクターで、「おれは鉄兵」(ちばてつや)の主人公から、したたかさをまるっと抜いたような性格なのですが、こういうキャラクターは現在の少年マンガ界では、絶滅危惧種なんだろうなあ。
無茶苦茶な性格なんだけど、ちゃんと他人を思い遣る心も持っておりまして、こういうところがちゃんと描けてるのはさすがであります。主人公も結構な親分気質なのですが、同じ親分気質でも「ガリガリ!!」(元木まこと)の主人公とは大違いであります。ガリガリは、設定は悪くなかったとは思うのですが、いかんせんキャラクターに魅力がなさすぎでした。もうちょっとこう、工夫してもらわないと!

しかし、スポーツマンガを読むのは久しぶりだったりしますが、やっぱりいいですね。なかいま強さん、また少年誌で描いてくれないかな。
あと、改めて読み返して、主人公のお母さんが美人さんでビックリしました。なかいま強の美人キャラって初めて見ましたよ。いや、10年前に読んでいたのか。その時は完全にスルーしてたんだな。節穴で面目ない。サンデーのスポーツマンガは、伝統的にお母さんが美人な気がしますね。俺フィーとかメジャーとか。
キャラ的には、主人公以外では、峯さんが好きになりましたよ。こういう芸風()は、「賽ノ目手帖」においても目指してるところだよなあ。新生「賽ノ目手帖」はまっすぐ笑いを目指す!(目指しません)。「ボールを生かせれば問題ない!」とか、なかいま強作品の、こういうセリフ運びは大好きだなあ。

などと、年末から元旦の間、ブックオフ巡りをして昔のマンガを読みあさってましたが、いつもの間にやら、すっかり買うのを忘れてた「バロンドリロンド」(梶川卓郎)のことを思い出して最終巻を買って読んでみましたことろ、最終話のこのページで、えらく感動しました。おおお。
この、1年に渡った物語は、すべてこのページのために描かれていたのだなあと。このページを見れば、この台詞を読めば、このページに至るまでの全ての過程を思い出す事ができる。「あ――オ○ニーしてぇ!」とか色々ありましたけど、なにもかも思い出せるぞ!

実際に全てにわたって細部まで思い出せるのかどうかは、とりあえずおいといて(笑)、そういう物語のキーとなる言葉があると、なんというか非常に助かります。
私は赦すよ?私は許す!」とか「わたし達は羊の群れに潜む狼なんかじゃない。牙を持って生まれた羊なのよ」とか、「もう喰ったさ。ハラぁ…いっぱいだ」とか、その言葉だけでなにもかもが思い出せるというのがありますと、わざわざ単行本を持ってなくっても、なんら支障はないワケでして、これで心おきなく単行本を処分できるワケですよ!・・・すみません、すみません。本棚が本当にもう一杯なんです。

シュトヘル」(伊藤悠)で、主人公が死んでいった仲間達の名前を見て、「思い出せる」と涙するシーンがあり、当然ワタシも泣きましたけど、なんでしょうね、この感動は。
2002年のスーパーボウルのハーフタイムショーで、U2が9・11で亡くなられた人達の名前が巨大スクリーンに次々と表示されていく、というライヴを行っていましたが、それを思い出しました。言霊というヤツなのでしょうか。

と、例によって「まとまらない話はU2でシメる」という法則を発動させてしまいましたが、「言葉というのはスゴいなあ」と、「シュトヘル」を読んで以来、色々と考えさせられてしまっている今日この頃なのであります。