賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

「楽園」第1号を読んだ。

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ということで、感想です。帰りの電車で読みました。黒咲練導、許すまじ。
とても楽しみにしてた創刊号だったのですが、どうも書籍扱いらしく、雑誌コーナーで全然見つけられなくって、少々アセりましたよ。え、書店員さんに訊いてみる? そんなコトできるワケないでしょ



ディラティア(かずまこを)

作者さんは、主に「百合姫」などで執筆されてるようなのですが、こちらは普通の男女の恋愛モノ。高校生(中学生?)の、ぎこちない恋愛模様が読んでて気持ち良いです。何度も言ってますがコミックハイで、こういう作品を読みたかったのですよ。まったくもう!
手をつなごうとすると、恥ずかしいからと、あっさりと拒否るヒロインさんが気に入りました。


薔薇だって書けるよ(売野機子

これがデビュー作とは、まったくもって素晴らしい。この読んだ後の幸福感はなんなのでしょうか。橋本みつるさんのマンガを読んだ時と似ているなあ。
創刊号で、こういう新人さんの作品が読めるのは嬉しいな。思えらく、アワーズプラスの弱点は、こういう「大型新人」に恵まれてなかったことなんだなあ。未知なる可能性を秘めた作品は、いつ読んでも楽しいものです。


コレクターズ(西UKO)

創作系ガールズラブの旗手とのことですが、普通に面白い4コマ作品でした。なんであれ、イチャコラしてる姿は見てて微笑ましいものなればなり。


すきなひと(日坂水柯

うむ、メガネじゃないな! 次からはメガネが幅をきかせると巻末コメントで宣言してましたが。
いつも通り、読んでて思わず赤面してしまう、直球直情恋愛モノでした。ああ恥ずかしい。


阿房列車の人びと&残月記(竹田昼)

恋愛欲を刺激するオール読切との触れ込みなのですが、これも恋愛モノなのでしょうか?
あえてくくればボーイズ・ラブということになったりして(なりません)。
内田百閒の作品は、一度読んでみたいと思ってましたが、小林秀雄がひどい悪口を書いてたので、なんとなく敬遠して読んでなかったです、そういえば。小林秀雄、許すまじ。


立体交差点の駅(中村明日美子

ガールズ・ラブもの。この雑誌は、百合系作品がメインなのだろうか?
面白かったです。さすがというか、短いページ数で、きちんとしたストーリーをまとめていて、いいお話を読ませてもらったなあと。当たり前っちゃー当たり前の話なのですが、チャンピオンで伏線台無しまくりの、ちっともまとまらない「範馬○牙」とか「ドカ○ロ」など延々読んでると、そういう作品がとても貴重なものに思えてくるものなのです(笑)


ノミノ(宇仁田ゆみ

幼馴染モノ。幼馴染・ドジっ娘・メガネと、これは反則でしょう。ニヨニヨせざるを得ないっ。この人は、こういうの描かせると天下一品だということを思い出しましたよ。でも絵柄は昔の方が好きだったかな。ちょっと平板すぎるような。


On(黒咲練導)

ぼ、ぼーいず・らぶなの?


想いの欠片(竹宮ジン)

こちらはガールズ・ラブ。ジャンル無双にも程がある。
絵柄が大変好みなのですが、この人の作品を読むには「百合姫」を買わないといけないのかあ。単行本が出ましたら、是非とも購入させていただきますっ。


乙女ループ(鬼龍駿河

女子高生のぐだぐだな日常をゆらゆらと描きます」とありましたが、箸休め的作品としてイイ感じでした。


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はい、こういうの、大好きです。


ごっこ二宮ひかる

兄妹モノと見せかけて実は得意の姉弟モノだったでござるの巻。
得意分野だけあって、久しぶりに気合いの入ったHシーンを読ませていただきました。
機工魔術士」(河内和泉)の香子さん&北都といい、ワタシの好きな女性マンガ家さんにはでっかい弟とちっちゃい姉シチュが好きな方が多くて、姉持ちの身としてはいささか困る。


mio post(西UKO)

この人は、こういうのがすごく好きなんだろうなあというのがとてもよく分かるお話。
4コマの方が絵がスッキリして見えますね。


あなたさえいなければ(シギサワカヤ

表紙にもなったことですし、シギサワカヤさんの作品が看板のひとつであることは間違いないのですが、あえてこの掲載位置に持ってきたのは正解ではないかと。なんたって58ページですよ。面白かったですけど、いやあ、タメが長かったわ~。
このクドさは、「No Line On The Horizon」でいえばBreatheに該当しますね。意味が分からない分からない。
二宮ひかるも、次回はこれくらいの分量でネチネチと描いて欲しいっす。主に心理描写方面で!


隷属性クラブ(黒咲練導

や、やりすぎですよ、黒咲練導サン!
二宮ひかるに負けるな」とは言いましたが、ここまでやれとは言ってませんよ。
ただのエロマンガじゃないっすか~。アキバblogでも取り上げられちゃってますよ。
男性向けなんだか、女性向けなんだか、さっぱり分からなくなってきました、この雑誌。


日曜日に自殺(売野機子

オーラスは期待の新人の売野機子さん。うむ、「薔薇だって書けるよ」よりも、こちらの方が「デビュー作」って感じですね。こういうことが描きたくって、ただもうそれだけを目指して描いたっていうか。初々しいです。てか、「薔薇だって書けるよ」の完成度の高さはなんなんでしょうか。パブロ・ハニー→ザ・ベンズみたいなものでしょうか。強引すぎる例えは控え目に!
なにはともあれ、BGMはU2の「A Day Without Me(僕のいない日)」ということで。



と、こうして読了したのですが、いやあ、実に読者層がつかめませんな。
巻末のイラスト(ニリツ)が、電撃大王チックだったりして、もうなにがなんだか・・・(関係ないですが、ニリツさんのpixivを拝見して、ああ、あの真希波さんは、この人が描いたんだなあと)。
エロティックスFとアワーズプラスと百合姫を足して3で割ったような雑誌と、強いて挙げれば申せましょうか。はい、なにも申したことになりません(笑)

もう、対象読者層とかクソ喰らえで、好きな作家さんを集めたらこうなりましたよ~、な感じが凄く好感が持てますね。一人一人の作家さんが思い思いに好きなことを描いてるので、贅沢に読ませてもらったなあという読後感がありました。

冒頭には「上昇するものは すべて一点に集まる。」と、フラナリー・オコナーの言葉が掲げてありましたが、こういうところからも編集者の意気込みが伝わってきます。ちなみに、ボノさんもこのアメリカの作家の大ファンであったりしますが、「フラナリー・オコナー ボノ」で検索すると、ゆのわんさんの記事がヒットしますねえ。

そんな、気合いの入った楽園の次号は来年の2月発売ということですが、次号予告では沙村広明さんと鶴田謙二さんが登場ということで(読者層が読めない・・・)、これはどう考えても冬目景さんの参戦をも期待せざるを得ないのですよ、アフタヌーン的に。少女漫画家無宿で伊万里マリエルといったらここは当然、文車館来訪記の人でしょう。カモン冬目景

そんな次第で次号発売まで、じっくりと読ませていただきますです。やはり創刊号はいいな!





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『楽園』(Le Paradis [ル パラディ])
http://www.hakusensha.co.jp/rakuen/vol1/index.html