賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

Oneについて

「愛とは心休まる場所、人は生まれながらに愛し合うように定められている」
心休まる場所?生まれながらの定め?
口では甘いことを言って、足で俺を踏みにじる
もうやって行けないよ、どうせ傷つくだけさ    (訳:Kyokoさん)


長い間、不仲であったOneであるが、「読めば読むほど」のKyokoさんの訳詩で、ようやく聴けるようになってきた、歌えるようになってきた。今なら、カラオケに行ったら、真っ先にこの曲を歌うねっ(笑)

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U2の名曲たち、「Bloody Sunday」にしても「With Or Without You」にしても、「Beautiful Day」にしても、みな歌う人間の感情がクリアーだ。Oneが、Oneだけがワタシには不鮮明に聴こえる。濁ってみえる。歌いにくい。感情移入しにくい。
そしてトドメを刺すのがサビの「Love is a temple, love the higher law」だ。なんだか高尚で、お高く止まって見える。こんなのを高らかに歌われても、シラけちまうぜ。
美しいメロディ、荘重なサウンド、そんなものはみんな虚飾だ、気取りだ。なんだい、勿体ぶっちゃって、白々しいったらないや。

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・・・と、そこまでは思わなかったが(笑)、ノエル・ギャラガーを始め、なぜにみんなが、この曲を崇拝するのか、ずっと疑問だった。
例えば、「Stay」という曲を聴く。その曲の美しさに感動する。いつまでも聴いていたいと思う。それがOneにはない。ないというのは、無論ワタシにとってだ。Oneは美しい、だが感動できない。

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Onenessに対する嫌悪の念は、ボノさん以上にあるかもしれない。ホワイトバンドですら、Oneness臭が感じられて、とても付けることができない。
それはとても気持ちの良い事なのよ」などと人類補完計画的に言われても、あの映画で軽くトラウマってるので、どうにも受け入れられません(笑)

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We are one」というのは、「僕たちはみんなでひとつ」ではなく、「僕はひとつ、キミもひとつ、彼女もひとつ、あの人もひとつ」ということだ。Not The Same!
I am One! and you, too... 「僕たちが生まれた時、一人だった。だから死ぬ時も一人で死のう」ということだ(これは違うかも)。

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中国人:One China!
俺:One China!!
中:One China!!(嬉しそう)
俺:One China!! One Tibet!! One Uigur!!
中:・・・
俺:One Taiwan!! One HongKong!! One Manchu!!
中:(何か中国語で叫ぶ)
俺:Two Korea!!
中:(笑)

最後のは余計だったと反省。ウケてたけど。

例の長野の聖火リレーの際、こんなやり取りをした方がいらしたそうですが、いやいやユーモアは大事だよね。心の鎧は堅く、怒りで打ち砕くよりも、笑いで滑り込ませる方が効果的だ。ユーモアは人生の調味料。

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「Oneキャンペーン」という呼び名をやめさせたかった。それが多くの宗教団体に気に入られたのは、そのヒッピー的なとこが気に入ったからだろう。だが、俺が書いたのは正反対の歌だ。「We’re one and we’re not the same」。歌にこめられた苦い錠剤だ。(kyokoさんのブログより)

「苦い錠剤」・・・僕たちはOneだ。だから互いに傷付け合う。

We're one, but we're not the same.
(俺たちは一緒にいても、別々の人間)
Well, we hurt each other, then we do it again.
(そう、傷つけ合ってばかりだ)

僕たちはOneなんだから仲良くしようなんて、まるでヒッピー的だ。
僕たちはOneだけど、互いに担ぎ合ってゆこう。そういうことだ。

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酔月亭さんの記事を拝見して知ったのだが、ボノさんってば、MTV Japanで、こんなスピーチをしたそうな。

なぜか。
なんで君たちが気にかけるのか。
私たちは「One」だからだ。
私たちは一つの惑星にともにくらしている。
「One」なんだ。

ふんふん? これは、「onenessというものが嫌いだ」というボノさんの言葉と背馳してないか? 「but we're not the same」が欠けてやしないか? ボノさん、相変わらずワタシを混乱させてくれるぜ。これまでの話が台無しだ――!

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それは有力な動機だ。「主が見張っている」取引成立、とりあえず。

Kyokoさんが翻訳された「On The Move」の一節であるが、僕たち日本人には、それは有力な動機となりえない。
神が見張っている。それは慈善の問題ではなく、正義の問題なのだ・・・と言われても、あなたの正義とはキリスト教の、イスラム教の、ユダヤ教の神サマでしょう? 僕らにそんなこと言われても・・・

やっぱりボノさんを理解するためにはクリスチャンにならなきゃダメなのかな?
日本人は神を信じない人が多いから、正義でなく慈善、ヒッピー的なOneを優しく押し付けているのかな?
いちいちそうやって欧米コンプレックスに苛まされなきゃ、U2ファンをやってられないのかな?
もうやって行けないよ、どうせ傷つくだけじゃないか・・・








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本当にスミマセン、これをやりたかっただけなんです・・・_| ̄|○
どんだけ「ヨルムンガンド」(高橋慶太郎)が好きやねん。いや、以前、部屋がむっちゃ散らかってて、すぐに読めるマンガってえと、ベッドの側に積んである「ヨルムンガンド」だけだったんですよ。毎晩寝る前に「ヨルムンガンド」読んでました。4巻は、いい言葉がたくさんあるなあ。バルメのこのセリフとかいいなあ。「世界は人の心で点火する」なんてのもイイね!

それはともかく、Oneという曲が恐ろしく多様性を秘めた歌であることは、こうぞうさんや、こちらの方のブログでの翻訳を拝見して認識致しましたが、それでもワタシはKyokoさんと同じく、90年代のやさぐれたOneに、こだわってゆきたいなと。


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俺たちは本当に麻痺しちまっている
事実が虚妄で、テレビが真実だと履き違えてる
今も何百万人もの人たちが絶望し
俺たちが飲み食いしている間に明日にも死んでゆく

23歳の頃、こんな歌詞を歌っていた、生意気な青年が、今や48歳のオッサンとなって、世界中を駆け回り、先進国の首脳たちに貧しい人たちへの援助を訴えている。なんという首尾一貫さ!
われ一を以って之を貫く」と、昔の偉い人が言ってましたが、ボノさんもまた、Oneを以って貫いているのだなと。これだけで十分だ。これだけで信じるに足るではないか。

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僕たちはどうしようもなく、Oneだ。それが自覚できないうちはOneですらなく、Zeroだ。
ゼロの人間は、いともたやすく、全体(ALL)への服従を誓う。それは、とても気持ちの良い事だからだ。そういう人間には、なりたくないよな。
ゼロからワンへの道。まずはそこからだ。

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最後に、改めてKyokoさんに感謝を!
あなたのOneで、U2の曲がまたひとつ好きになれました。
ありがとうございました。



追記
ボノさん、Onenessに関しては、実はツンデレなんじゃないかと、最近思えてきた。たとえば、I Still Haven't Found What I'm Looking Forの歌詞なんて、

I believe in the Kingdom Come
Then all the colours will bleed into one
Bleed into one.
But yes, I'm still running.

これってば、もろにOnenessだよなあ。
か、勘違いしないでよねっ、別にOnenessなんて好きでもなんでもないんだから!」。
やべ、萌える(笑)