賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

「not simple」(オノ・ナツメ)を読んだ

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いや、かなり前に読み終わったんですけど、なかなか感想を書けなくって、結局年を越してしまいましたよ。
ヒキコモリ」ブログのumpさんには、大変申し訳ないことをしてしまったなあと、
急悦至極に存じ上げてしまうワケですが、これはねえ、オノ・ナツメのせいでもあるんですよ。

だって、冒頭の1ページ目に、こんなことを描いてらっしゃるんですよ~。→

これに足を取られて、ずいぶんと読むのに苦労しました。
なまさんなら、ご存知かと思いますが、ワタシは典型的な感情移入タイプでして、小説とかマンガを
読むときは、登場人物に思いっ切り感情移入しながら読むタイプなんすわ~。

まあ、ごく普通の読書法だと思うんですが、「not simple」では、上記のように、「これから小説のような
人生を送った人間のことを描きますよ~」と、のっけから宣言してるのですよ。
小説を読むときは、「これが小説(=虚構)だ」ということを忘れて読む。登場する人間を実在するものとして、
感情移入して読む。そういう基本的な読書法を、オノ・ナツメさんは、いきなり否定してくれちゃうワケですよ。
さあ大変だ。

さらに念のいったことには、この作品では、キャラクターが、非人間的にデフォルメされて描写されて
いるのですよ。このページとか、目が、目が飛び出しちゃってますよ! ただでさえ感情移入することを
禁じられた状態だというのに、こういった、人形のような造形のキャラクターたちが話を進めていくため、
あたかも傍観者のような態度で「not simple」を読み進めていきました。こういう読み方をしたのは、
もしかしたら初めてかもしれない。それくらい違和感を抱えながら、この作品を読んだ次第です。


と、このように書いてしまうと、なんだか否定的な評価をしているように見えてしまうかもしれませんが、
実際は大変面白く読ませていただきました。
普段のワタシは、感情だだ漏れーの、ある種だらしない読み方をしていたのかもなと、なんか反省して
しまいましたよ。

ストイックに読むというのでしょうか。安易に感動したりしないで、この「not simple」という物語を、
そのまま、ありのままに受け取る。同情もしないが、むさぼりもしない。ワタシには大変困難な読み方です。
でもこれがきっと正しい読み方のハズだ。


ええまあ、確実に間違った読み方だと思いますが(笑)、いいんです、ワタシはこれが正しいと思ったのだから!
まあ、こんな豪快な誤読の仕方もあるんだぜ、ということでひとつ、カンベンしてください。

もうこうなったら、「LA QUINTA CAMERA」も「さらい屋五葉」も読んじゃいますよ、全部読むぜ!