賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

パヴァロッティ(p367)

パヴァロッティもその曲で一緒に歌っているけど、「ああ、若い頃の彼は驚異的な喉を持っていた。曲芸的な歌声だったけどなあ」などと言われている。でも僕が耳を傾けると、そこには同じ才能があるし、そのうえ歌声の中に聞こえる人生経験がそれをもっと豊かなものにしている。彼の流したすべての涙が、すべての口論、すべての妥協が聞こえるんだ。これを聞き逃す人にオペラは理解できないというだけさ。それがオペラの存在意義なんだから。
ある種のオリンピック競技、例えばアイス・スケートだとかのように歌わなければならないという考えは、オペラが芸術だという肝心なことを忘れている。人生を解釈する芸術なんだよ。だから、年齢が歌声にもたらすものは素晴らしいと思う。ウィリー・ネルソンの風貌も歌唱も美しいだろう。僕も六十代になったら、なんとかクールになるつもりさ。(367ページ)

これはきっと、パヴァロッティとオペラについて語ると同時に、自分とロックについても語っているのでしょうね。