賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

橋本みつる「青いドライヴ」を読む

おお すばらしい
自然のひかり
陽はかがやく
野は笑う

枝枝に
花はひらき
しげみには
鳥のさえずり

あふれ出る
胸のよろこび
大地よ 太陽よ
幸福よ 歓喜よ    (ゲーテ「五月のうた」より)



やってらんねぇ~~・・・(ダンボー(@よつばと)っぽく)

いや、そんなに悪い月でもなかったんですけどね。
須藤真澄さんの「ゆず展」に行ったりとか、桐原いづみさんのサイン会に行ったりとか、
それなりに楽しかったのですが・・・ムキ――!!

などという賽の目の葛藤はともかくとして、今月いよいよ橋本みつるの新刊、「青いドライヴ」が
発売されたのですよ。
収録作は、すでに雑誌で読んでいる「流星」と「苺の夢」、そして未読であったウィングス新人賞
に入選した「青いドライヴ」の3本なんですが、ええまあ、

ものすごく良かったです。


橋本みつるが、ウィングス新人賞に投稿したことについて、「キャリアのあるマンガ家が、このような
“新人”賞に投稿するのはズルい」みたいに言われたこともあるようなんですが、そういった「キャリア」
を打ち捨てて、ゼロから、「新人」として、もう一度マンガを描いてみようっていう姿勢は、やはり尊重
したいなあという気持ちがあります。4年というと、マンガ界では一昔といって良い年月ですしねえ。

そして、その新人賞に投稿した「青いドライヴ」の冒頭1コマ目がコレですよ。
私は心を残して来た
スミマセン、ワタクシこの最初のページで、すでにウルッときちゃいました。もうダメだ~。
三冊目の単行本「幼い恋」のあとがきで、

読者の方たち~、会えたらまたね~。
私、マジ危ないから、いつもこれで最後みたいなあいさつだよ~(笑) 
お元気で~~~

などと書いてありまして、実際4年間マンガを描かなかったワケですが、4年振りに描いたマンガ
の、冒頭のセリフが、「私は心を残して来た」ですよ。泣くなって方がムリだぜ。

と、泣いてばかりいてもしょうがないので、もうちょっと書かせていただきますと、最新作3本を
まとめて通読すると、やはり4年の月日を感じさせるというか、これがニュー橋本みつるなのだなと(笑)

昔あった、藤田貴美的なトガった部分(「Get Down」など特に)が、きれいに抜け落ちて、かわりに、
ええとなんでしょうね、「風情」でしょうか? より濃密になったなあと。うん、なにを言ってるのか
自分でも分かんないや(笑)

これを「成熟」といってしまうと、なんだかイヤらしい気がしてきたので、ここはやはり「ニュー橋本みつる
と称したいところです(笑)

奔放なところは以前といささかも変わらないのですが、それを確実にしっかりと腕の中に収めて描いてる
ような、本当に描きたいことだけを描いてるなあという充実感が感じられるというか・・・ええ、面倒くせえ!
つまりU2で言えば、Achtung Babyを聴いたときみたいな読後感を得られたということです、うわお(笑)

まあ要は、今の橋本みつるは、めっちゃイイ!ってことっすね。
でも、これはあまり人には薦めたくないかも。三原順の「Sons」は全国民必読の書だと思いますが(笑)

売れて欲しいけど、オレ以外の人間に読んで欲しくないという、このアンビヴァレンツな気持ちを、だれか
どうにかしてください(笑)



イメージ 1はい、これが表紙です。
ワタシの好きな青色で、とっても良かったんですが、
ただ、「青春ファンタジスタ」って、帯の文句は
勘弁して欲しかった・・・