賽ノ目手帖Z

今年は花粉の量が少ないといいなあ

鈴木有布子を読む

~~人生は重き荷を背負って歩むがごとし~~

「生涯一漫画読者」ブログのgbkjnfgb297yassさんが、新刊に紅茶こぼしてしまったそうですが、ドンマイですよ! オイラもやらかしましたから!(にょ~~う)

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あたいの機工魔術士がぁ~~!

あやまれ、河内和泉にあやまれ! と自分にツッコみたいですが大丈夫ですよ、ご覧の通り、新しく買い直しましたから! みんなっ、褒めて褒めて~。いやあ、マンガ好きのカガミだな、俺は

そういう鑑のヒトは、そもそもコーヒーこぼさないよ、というツッコミはさておきまして、こんばんわ! やっと風邪が直ってきた賽の目です。
ぶっ倒れるほどタチの悪い風邪というワケでもなく、今週はダマしダマし出勤してたんですが、毎日5時起きで夜の11時過ぎに帰宅というステキな勤務状況で、キツかったわ~(遠い目)。
そんなワタシを慰めてくれたのは、仕事の帰りにコツコツと集めて読んでいた鈴木有布子さんのマンガでした。




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やあ、これは良いマンガ家さんですね。

ボクはすっかり気に入りましたよ!
基本的にどこといって、飛び抜けたところはないのだけれど、トータリティに優れていて、まあ地味な作風と申し上げても、よろしいのではないかと思いますが、正直、他の人に薦めたいとは思いません(おい!)
だってだって、地味過ぎるんだもん、この人のマンガ。この地味なところが気に入っているのですが、普通マンガを読む人は派手派手しい方が好きですよね?
ワタシも派手なマンガが大好きな人間なんですが、こういう地味なマンガも大事だよなあと、ヘナチョコな状態の時は、ことにそう思います。

と、「地味」の一言で片付けるというのもいかがなものかと思いますので(てか、なにげに失礼じゃね?)、これまで読むことができた作品について、少々紹介してみたいと思いますです、はい。


旬(いまどき)全1巻

初単行本作品。「いたいけな高校生が年上の女に翻弄されるというのを描きたくて始めたお話」(by作者)だそうで、正直驚きました。

最初に読んだ鈴木有布子さんの作品が「丘の上のバンビーナ」で、次に読んだのが「罪と罰」だったので、子供がメインの作品を描く人なのかなあと、思っていただけに、こんな二宮ひかるチックな作品を描いてたなんて、ビックリですよ。

しかし、「機工魔術士」(河内和泉)における、香子さんと北都みたいな、姉と弟の擬似恋愛関係なお話を、女性マンガ家さんは好んで描く傾向がございますなあ(→)。

二宮ひかる河内和泉と違って、鈴木有布子さんは、優しい方のようでらっしゃるので(前の二人は悪人です)、ドロドロな描写があるワケもないのですが、初単行本が一番アダルティな作品だというのはイカすなあ。


罪と罰(ツミトバチ)全3巻

全3巻ということで、現在のところ、代表作になるのでしょうか。
大変面白く、かつ書きたいことが山ほどあるので、折をみて、この作品について語ってみたい、語りたいなーと思いますが、いつになるのやら・・・

ざしきわらじの男の子(あの白髪のツンツン頭した子ね)を中心に、一色家の人々の人間模様が、ヒューマンに(ぶっ)描かれているのですが、まあなんですな、2巻の最後で泣いた。もういいんだ。そういうことを恥ずかしがらないことに決めたんだ。

この作品、「ハックルベリー」(新書館)という雑誌で掲載されていたそうですが、おっかしいな、オレ、この雑誌のvol.1、購読してたんだけど、まるで覚えてないぞ(あ、名前載ってる)。
まあ、なるしまゆりの「原獣文書」目当てに買ったのですから、しょうがないっちゃあ、しょうがないのですが、いかに鈴木有布子さんの作品が地味かということが分かるエピソードでもあります。あの頃は、なるしまゆりに夢中だったからなあ。今は鈴木有布子に夢中なワケで、縁は異なものでございます。

1巻では、表題作の他に読切が2編収録されており、その中のひとつ、「ゆきむし」は出色の出来でありまして、今のところ、この人のベストと言って良いのではないでしょうか。この作品で、ワタシはとりこになりました。

ヒロインの女の子が、男の子に傘を貸すシーンがすごく好きなんですが、こういう笑顔が、この人の作品には、必ず出てきますね。ワタシも好きですけど、この笑顔が、鈴木有布子作品に流れる主調低音なのではないかと思われます。とりあえずカケアミ最高!


あの子の腕は虹の続き(全1巻)

最近作。この次が、今連載している、「丘の上のバンビーナ」ですな。
ええと、ここでひとつ、お詫びしたいのですが、ワタクシ、この作品を「丘の上のバンビーノ」と、今まで表記していました。本当にゴメンナサイ。バンビーノってなんだよ! スピリッツでやってる料理マンガかよ・・・_| ̄|○

気を取り直します!(ベーネ!) こちらのヒロインは21歳の大学生と、これまでになく年齢高めな主人公ですので、なかなか感情移入して読めますわよ。
天真爛漫に夢を追いかけるヒロインが、本当に才能のある人間を目の当たりにして、絶望するシーンとか、くはあっ、沁みるわ~。

5冊目の単行本ということで、自分の描きたいことが明確になってきたようで、キャラクターの配置の仕方とか、洗練されてきたなあと感じます。こういうキャラをこう配置すれば、イヤでも事件が起きるよなあという、ワクワク感がたまりません。

それにしても、このヒロインさん(柴田千春)は魅力的ですな。歌のお姉さんだけでなく、アーティストとしても、見てみたかったですよ。イケると思うけどなあ。

この人は最後に必ず「そして何年後――」というシーンを挿入しますね。
物語は終わらない。この後もまた、いつまでも続いてゆく。子供へ、孫へと、いつまでもいつまでも語られ続けてゆく、という形を好んで描くみたいですね。そういうの、すごく好きです。

きっと連載中の「丘の上のバンビーナ」も、そういう形で終わるのでしょう。楽しみです。くっそう、もうウィングス、定期購読したろかい。


ということで、今回は、鈴木有布子さんを取り上げました。くれぐれも皆様、お読みにならないでください(笑)